「古伊万里 前 monochrome+」
4月に入ってすぐの頃、同居人と休みが重なったので、昼過ぎから家飲みしました。主役は「暖かくなったら飲もう」と楽しみにしていた「古伊万里酒造」の「前(さき)monochrome+(モノクロームプラス)」です。
「古伊万里 前」は、古伊万里酒造が2008年に立ち上げた限定流通ブランド。「前(さき)」という名前には「前を見据え、新たな時代を切り拓く」という蔵元の強い意志が込められています。
限定流通ブランドなので、販売は特定の店舗のみ。古伊万里酒造ホームページのオンライン販売も行われていません。限定流通とすることで、お店側には「商品の品質管理が徹底される」「特定店舗の信頼できるスタッフが、商品のコンセプトや味わいを丁寧に伝えてくれる」といったメリットがありますし、消費者は高品質な状態のお酒を、アドバイスを受け納得したうえで購入することができます。
ちなみに今回は「九州酒蔵びらきと住吉酒販」でご紹介した「住吉酒販」さんで購入しました。
お気に入りの日本酒はその時々で変わるものの、ここ数年、不動の第一位は「前」です。
「monochrome+」の特徴は、何といってもフルーティーで華やかな香り。洋ナシやメロンのような香りと柔らかな甘みがありながら、さっぱりとしたクリアな味わいが楽しめます。ほのかなガス感もあり、冷やして飲むとさらに香りが引き立ちます。
早い時間からの晩酌だったので、軽めのおつまみと合わせました。干し柿とカッテージチーズを生ハムで包んだものや、ピスタチオをつまみにしていたら、ふたりであっという間に1本空けてしまいました。
“Koimari Saki monochrome+” is known for its fruity and elegant aroma. Paired with dried persimmon and cottage cheese wrapped in prosciutto.
「monochrome+」は、特定名称や原料米などのスペックをほぼ非公開にしたユニークな純米大吟醸酒。これは「お酒そのものに絶対の自信があるため、余計な情報を省き、味わいに集中してほしい」という蔵元の意図によるものです。
スタイリッシュなラベルデザインは、4代目蔵元杜氏の前田くみ子さんが手掛けており、洗練された見た目も魅力のひとつ。前田さんのセンスは本当に素晴らしく、ホームページの作りも衝撃的です。ぜひチェックしてみてください。
古伊万里酒造
後日、4月末の土日に蔵開イベントが開催されることを知り、ひとりで行ってみることにしました。
★博多駅〜有田駅(特急みどり)
自由席:3,330円/指定席:4,260円(※JQカード使用で3,330円)
所要時間:約1時間19分
★有田駅〜金武駅(松浦鉄道)
運賃:460円
所要時間:約15分
乗り換え時間が5分しかなく不安でしたが、松浦鉄道の有田駅はJR有田駅に隣接しており、余裕で間に合いました。一両編成のかわいらしい車両です。

無人の金武駅で下車し、川沿いの道を15分ほど歩きます。爽やかな初夏の風が吹き、とても気持ちの良いウォーキングコースでした。桜並木が続いており、春にはお花見にも良さそうです。

イベントは10時スタートですが、すでに多くの人で賑わっています。受付で200円のお猪口を購入すると、さっそく樽酒がふるまわれました。

お猪口を片手に会場に進むと、「前」や「古伊万里」、はじめて目にする「すみやま」などズラリと並んでいます。なんと、これらがすべて試飲し放題…!酒饅頭やチーズの屋台もあり、外にはキッチンカーの出店もあります。

空腹での飲酒は良くないので、まずはキッチンカーでおつまみを調達。佐賀名産の白石蓮根と一緒に煮込んだ牛すじを注文し、「前 純米」と一緒にいただきました。口に含んだ瞬間はほのかに甘く、喉越しはドライな辛口。そして飲んだ後に広がるふくよかな米の旨み…。牛すじ煮込みによく合います。

ふたたび会場に戻り、ひととおりのお酒を試します。驚いたのは、四合瓶(720ml)3,700円もする「古伊万里 純米大吟醸」まで、気前よく注いでくれること。はじめていただきましたが、香りが段違いです。この時点でかなり酔いもまわっていたのですが、まるで最初の一杯に戻ったかのような鮮烈な味わい。スッと身体に染み渡りました。

迷いに迷って購入したのは、「すみやま」の純米酒と純米吟醸酒。古伊万里酒造は地元農家と協力し、炭山地区の棚田で酒米を栽培する「すみやまプロジェクト」を展開しています。「すみやま」には、その棚田で生産された「さがの華」が使われており、今年はとくに出来が良いとのことでした。

純米吟醸は、果樹園を思わせる爽やかな香り。フレッシュで、ほのかなガス感もあります。 喉越しはドライで、食中酒として飲むよりは、単体で軽いものと合わせたい印象。「前」を使用したという、「パティスリーイルク」さんの「蒸し焼きショコラ」と抜群の相性でした。

純米酒はお燗にしていただく予定です。生産量が少なく、どちらも地元かオンラインストアでのみ購入可能とのことでした。
店舗では、前田さんの発想から生まれたカップ酒シリーズ「NOMANNE(ノマンネ)」も販売しています。通常ガラス製のカップ酒を、白磁のカップで販売するという試みです。カップには伊万里焼や有田焼の古典的な文様が施され、贈り物やお土産にもぴったり。はるこさん著「酒と恋には酔って然るべき」6巻にも登場しています。
現在は佐賀県とのコラボで、限定のニューモデル「変わりだるまと桜錦」も販売中です。

ちなみに帰りは、電車の上りと下りの時間を間違えてしまい、高速バスで帰ることに(松浦鉄道は1時間に1本の運行です)。バス停はJR伊万里駅の目の前にあり、待ち時間には駅のフリースペースが利用できます。運賃もこちらの方が安く、来年からは高速バスで訪れるのもいいなと思いました。
★金武駅〜伊万里駅(松浦鉄道)
料金:270円
所要時間:約5分
★伊万里〜天神日銀前(昭和バスいまり号)
料金:1,940円(2枚回数券3,600円)
所要時間:約1時間41分
※予約不可のため、満席の場合は乗車できません。…が、観光協会のスタッフさんいわく「いまり号が満席になることはまずない」とのことでした(笑)。
店舗情報
住所 佐賀県伊万里市二里町中里甲3288-1(松浦鉄道「夫婦石駅」か「金武駅」より徒歩15分)
電話 0955-23-2516
定休日 日曜・祝日
営業時間 9:00~17:00
※変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
本日のお会計
・ 試飲用お猪口 200円
・ 牛すじと白石れんこんの煮物 950円
・ 酒饅頭(5個入り) 400円
・パティスリーイルク
・蒸し焼きショコラ 500円
・酒粕とココナッツのメレンゲ 500円
・「すみやま 純米酒 720ml 1,350円
・「すみやま」純米吟醸 720ml 1,750円
・ イヤリング 1,500円(通常価格1,700円)
合計 7,150円

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