このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2025年11月7日(立冬)〜12月22日(冬至)の期間を『初冬の薬膳』としてご案内しています。
はちみつができるまで
野生のミツバチの習性を利用して蜜を集めるーー養蜂ってすごい技術ですよね。
採取された蜜は、以下のような工程を経て私たちのもとに届きます。

ミツバチには巣の外で働く外勤ミツバチと、巣のなかで働く内勤ミツバチがいます。
①外勤ミツバチが花蜜を集めます(蜜の水分は60〜80%)
②内勤ミツバチが羽ばたいて風を送り、水分を飛ばして濃縮させます。17〜20%程度まで下がると蜜蓋で封をします。
③蜜が詰まった巣枠を取り出し、蜜刀で蜜蓋を切り取ります。
④遠心分離機にかけ、巣からはちみつを抽出します。
⑤濾過して不純物を除去します。
はちみつの種類
非加熱はちみつ
市販のはちみつの多くはミツバチが密蓋をする前の花蜜の状態で採取し、加熱によって水分を飛ばし糖度を調整しています。はちみつは高温に触れると本来の花の香りや酵素が失われ、喉に張り付くような重たい甘さが残りやすくなります。
一方、②のようにミツバチがしっかりと蜜を熟成させた状態で採取するものは「非加熱はちみつ」と呼ばれ、花の香りや風味だけでなく、植物由来の酵素・ミネラルも豊富に残っています。
非加熱といっても、15℃以下になると結晶化して扱いにくくなるため、濾過の際には30〜40℃ほどに温められることが一般的です。そのため「生はちみつ」「完熟はちみつ」という呼び名のほうが実際の状態をよく表しているかもしれません。
植物による違い
はちみつはどの花の蜜からできているかで風味が大きく変わります。よく見かけるのは、やさしい甘さのレンゲやすっきりしたアカシア、さまざまな花の蜜が混ざった百花蜜など。私はクセのある味も好きなので、「栗」で紹介した栗はちみつのほか、コリアンダーや菩提樹(リンデン)のはちみつも気に入っています。
はちみつは花の蜜ーーつまり植物由来なので、アロマ精油のように”期待する作用”で選ぶのもひとつの楽しみ方です。精油ほど濃縮された作用はありませんが、それぞれの花がもつ成分や香りが穏やかに含まれています。
たとえばラベンダーはちみつにはリラックス作用、ローズはちみつには抗酸化作用や美肌(外用)効果、ユーカリはちみつには抗菌・呼吸器サポートの働きが知られています。

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マヌカハニー
”期待する作用”ではちみつを選ぶなら、とくにおすすめなのがマヌカのはちみつ(マヌカハニー)。強い抗菌力で世界的に知られています。
マヌカはフトモモ科に属する常緑低木で、主にニュージーランドやオーストラリアに自生しています。南半球の春から初夏(10〜1月ごろ)にかけて白〜淡いピンクの小花を咲かせ、精油は深く薬草的な香りをしています。

マヌカハニーの抗菌力は、花の蜜に含まれるDHA(ジヒドロキシアセトン)という成分が、貯蔵や熟成の過程でMGO(メチルグリオキサール)へ変化することで生まれます。このMGOが、非過酸化系と呼ばれる独自の強い抗菌力を生み出しています。抗炎症や抗酸化の働きもあるとされ、日々のセルフケアに取り入れる人も少なくありません。
ニュージーランド在住の友人いわく、医療費が高いこともあって、風邪や腹痛などの軽い不調であればマヌカハニーで様子を見るそう。
ありがたいことに、マヌカハニーは日本でも手に入りやすく、オンラインショップにもさまざまなタイプの取り扱いがあります。
おすすめ:ハニードロップレット マヌカハニー
私のおすすめはUMF認証の〈ハニードロップレット マヌカハニー〉。
名称は「はちみつ飴」ですが、飴ではなく100%のマヌカハニーをそのまま固めた”固形はちみつ”です。
常備し始めてから7〜8年は経ちますが、その間一度もインフルエンザなどの感染症にかかっていません。同居人は薬膳やアロマには半信半疑ですが、このマヌカハニーだけは絶賛しており、体調に違和感があるときは薬より先にこれを口にします。

私はUMF+10とUMF+15を常備し、シーンに合わせて使い分けています。
UMFとはマヌカハニーの純度や品質を保証する国際品質基準のこと。数値が高いほどMGO(メチルグリオキサール)の指標値も高く、より強い抗菌作用が期待できます
🍯UMF+10は、予防用に。身近な人が風邪をひいているときや、インフルエンザ流行時に満員電車へ乗る前などに口に入れています。
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🍯UMF+15は、症状を感じたときに。乾燥や空咳、喉がイガイガするときにはこちらを選びます。
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なお、ニュージーランド産のマヌカハニーで微量のグリホサート(発がん性の可能性が指摘されている除草剤)が検出されたと報じられた事例もありますが、いずれも基準値以下で、ニュージーランド政府により安全性に問題ないと公表されています。気になる方は、購入時に検査情報をチェックすると安心です。
はちみつの雑学
ここからは雑学セクションに入ります。興味のない方は、目次から【はちみつの薬膳効能】へ読み飛ばしてください(笑)。
養蜂の歴史

養蜂の明確な起源は分かっていませんが、人類がはちみつを利用した最古の証拠は紀元前6000年頃(約8000年前)のスペイン・アラーニャ洞窟の壁画です。そこには女性が蜂蜜を採取する姿が描かれており、当時は野生のミツバチの巣から蜜を集めていたことがうかがえます。
その後、紀元前5000年頃(約7000年前)の古代エジプトで人の手による養蜂が始まり、ギリシャやローマなど地中海沿岸にも広がりました。
一方、中国でも紀元前1000年頃(約3000年前)にははちみつの利用があり、後漢時代(2世紀頃)には組織的な養蜂も行われていたといわれます。
地中海沿岸では西洋ミツバチ(Apis mellifera)、中国は東洋ミツバチ(Apis cerana)が中心でしたが、清朝末期(19世紀後半)になると西洋の養蜂技術とともに西洋ミツバチが導入され、やがて中国は世界最大のはちみつ生産国へと成長しました。
日本へは朝鮮半島を経て中国から養蜂技術が伝わったとされます。奈良時代の『日本書紀』には「百済の王子が日本に渡り養蜂を試みたが失敗に終わった」という記録があり、この頃にはすでに蜜の利用が知られていたことが分かります。
その後もさまざまな文献に養蜂の記録が散見されますが、本格的に技術が確立したのは江戸時代。当初は薬やお菓子の材料として生産されていましたが、明治時代に西洋ミツバチが導入されてからは大量生産が可能になり、はちみつは庶民の食卓にものぼるようになりました。
薬用としてのはちみつの歴史
はちみつの抗菌・抗炎症作用や保湿効果、抗酸化作用は古くから知られ、世界各地で薬として用いられてきました。傷口に塗る外用から、整腸や咳止めを目的とした内服までーーはちみつはまさに医薬の原点のような存在です。
古代ギリシャの医師ヒポクラテス(紀元前460〜370年頃)もその薬効を称賛しています。彼は自然療法や植物療法を重んじ、アロマテラピーの先駆者的存在としても知られています。現代でも、はちみつや蜜蝋は精油を希釈するキャリア(基剤)としてよく使われます。

中国では紀元前 1〜 2世紀 の 『神農本草経 』に「はちみつは痛みをやわらげ、喉の渇きをいやし、不老の効果がある」と記されています。生薬では「蜂蜜(ほうみつ)」と呼ばれ、乾燥性の咳や便秘に処方されるほか、薬性の緩和(薬の刺激をやわらげる目的)にも利用されてきました。
はちみつの薬膳効能

はちみつには「身体(とくに肺と大腸)を潤す作用」があるとされています。
中医学では、はちみつは肺と大腸を潤すとされます。乾燥による空咳や口の渇き、皮膚・髪のパサつき、乾燥性の便秘が気になるときは、毎日少量(小さじ1〜2目安)をコツコツ続けるのがおすすめです。
薬膳には薬性が穏やかで日常に取り入れやすい生薬を指す「適食薬」という考え方があり、生姜・棗・枸杞の実・龍眼肉などと同様に、はちみつも適食薬に含められます。
ただし量や体質によっては合わない場合もあります。
たとえば私は湿を溜めやすいタイプなので、潤いを補う食材はなるべく控えており、はちみつを口にするのは乾燥が気になる初冬〜春先に限定しています(マヌカは除く)。「適食薬」は生薬としても使われる素材ですから、ほかの食材より少し慎重に、体調を見ながら取り入れるくらいがちょうどいいと思います。
栄養学的には、はちみつの主成分はブドウ糖と果糖。吸収が早く、すばやいエネルギー補給に向くとされます。
また、はちみつの抗菌性は多くの研究で示されています。
まず、高糖度による高い浸透圧で微生物の水分が奪われ、増殖が抑えられます。
さらに、はちみつに含まれるグルコースオキシダーゼという酵素が水と混ざると、空気中の酸素と反応して過酸化水素を生成します。この過酸化水素は消毒薬(オキシドール)と同じ成分で、傷の殺菌や感染予防に役立つことが古くから知られています。
抗菌を目的とした使い方としては、非加熱のまま摂るのが基本。高温加熱は酵素の働きを損ねやすいため避けたいところです。喉のケアには“塗布するように”口中に留めると効果が高まるとされるため、本文中でご紹介したマヌカハニーのようなゆっくり舐めて溶かすタイプの”固形はちみつ”がとくにおすすめです。
注意:乳児ボツリヌス症予防のため、1歳未満の乳児にははちみつNGです。また血糖コントロールが必要な方は、量やタイミングを主治医と相談のうえで、少量からお試しください。
おすすめの薬膳書籍
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