このブログでは、季節に合わせた薬膳食材をご紹介しています。
2025年2月3日(立春)〜3月20日(春分)の期間を『早春の薬膳』としています。
ツバメの訪れと春の空気汚染
3月18日、今日は今年初めてツバメを見ました。
七十二候の「玄鳥至(つばめきたる)」は4月4日〜8日ですが、福岡は温暖なため、旧暦より少し早く季節がめぐってきます。
そしてツバメとともにやってくるのが、私たちにとって嬉しくないもの…ずばり黄砂です。黄砂は中央アジアの砂漠の砂土が偏西風に乗って飛来するもので、日本に届く頃には赤血球よりも小さな粒子になることもあります。特に西日本や日本海側では毎年深刻な影響を受け、福岡や大阪はとくに被害が大きいと言われています。
黄砂そのものはアレルゲンではないとされていますが、喘息の発作を悪化させたり、花粉と結びつくことで花粉症の症状を強めたりします。
さらに厄介なのがPM2.5です。黄砂とともに飛来し、気管支や肺に侵入するだけでなく、血液を通じて細胞に取り込まれ、心臓や血管などの循環器系にも悪影響を及ぼすこともあると言われています。

こうした外的要因による健康被害は、中医学では『外邪(がいじゃ)』と呼ばれます

『外邪』から身体を守るためには、肺を養い、免疫力を高める食材を積極的に摂ることが大切です
「早春の薬膳」で紹介したような、肺に帰経する辛味食材、特に緑の葉物野菜は黄砂・PM2.5対策におすすめです。これらの野菜は、ビタミンA・C・Eを豊富に含んでいます。
• 粘膜を丈夫にする → 外邪の侵入を防ぐ
• 強力な抗酸化作用 → 免疫力を高める
• 美肌効果 → 黄砂や紫外線ダメージを軽減
この時期とくにおすすめしたいのが パセリ です!
パセリについて
パセリの旬と種類
パセリはハウス栽培で一年中手に入りますが、旬は春(3月〜5月)と秋(9月〜11月)の年2回。
旬のパセリは香りが強く、葉が柔らかく、価格も手頃です。福岡では2月中旬頃から、ボリュームたっぷりのパセリが100〜200円で手に入ります。
パセリには大きく分けて「カーリーパセリ」と「イタリアンパセリ」の2種類があります。
• カーリーパセリ:縮れ葉で香りが強く、彩りのアクセントにもなる。
• イタリアンパセリ:平たい葉で香りがマイルド。サラダなどに向く。
どちらも栄養価が高く、料理に合わせて使い分けるのがおすすめです。
パセリの保存方法とレシピ
すぐに使う分は、コップに水を入れて茎を挿し、軽くラップをかけて冷蔵庫へ。水を毎日取り替えると、2週間ほど持ちます。
私はパセリやパクチーなどの独特な香りを持つ野菜が大好きなので、サラダやマリネにバンバン使います。お惣菜で買ってきたポテトサラダでも、パセリを混ぜ込んで生ハムを添えればお酒の進む一品になります。ちぎって色々な料理にちょい足ししているうちに、1束すぐになくなります。
冷凍保存する場合は、そのまま冷凍すると霜がついて水っぽくなるため、オイル漬けにすると◎。
1. パセリをよく洗い、水気をしっかり拭き取り、葉をみじん切りにする。
※拭くのが面倒でしたら、コップに挿して半日も経てば乾きます。
2.好みのオイルを少しずつ加えながら混ぜる(画像よのうに、全体がしっとりする程度)。
3. 冷凍用保存袋に入れ、薄く平らに伸ばす。
4. 凍ったところで袋の上から定規などで折線をつけておくと、使いたい分だけ取り出せる。常温でわりとすぐに戻る。
※茎の部分はまとめて専用の保冷袋に入れ、冷凍庫にストックしておくと便利です。香りが強いので、肉や魚と一緒に煮て臭み消しにしたり、セロリの茎に詰めてブーケガルニとして使います。

★酢orレモン汁と砂糖・塩・胡椒を加えてドレッシングやマリネに。
★スープを食べる時に凍ったままひとかけら。
★塩・みじん切りのニンニクを混ぜ、バゲットに塗って焼けばガーリックトーストに。
★しょう油・ごま・酢を加えて茹でたささみや白身魚に。
★しょう油・ごま・かつおぶし・ちりめんじゃこを加えてご飯や豆腐や蒸し野菜に。
パセリの薬膳効能

『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』元気幸房代表 竹内郁子編著:ブイツーソリューション出版より
パセリは血液を浄化して全身にめぐらせ、滞り(瘀血)を解消する効果があると言われています。
中医学では、血のめぐりが悪く、汚れが溜まった状態を『瘀血(おけつ)』と呼びます。瘀血は以下のような症状を引き起こします。
• 生活習慣病(高血圧・動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞)
• 肩こり・頭痛
• 婦人科系のトラブル(子宮筋腫・生理痛・不妊)
いわゆる「ドロドロ血」も『瘀血』の一種です。運動不足や過労、不規則な生活、ストレス、偏った食事(脂っこい食べ物など)が原因となります。
また、冷えによる血行不良も『瘀血』につながりやすくなります。この場合は血液のめぐりを良くして滞り(瘀血)を解消する『活血化瘀』に加えて、身体を温める作用も必要になります。ダントツで効果が高いのはよもぎですが、菜の花や春菊、ニラ、パセリにも、「血液を浄化し、全身にめぐらせ、身体を温める作用」があるのでおすすめです。
パセリは「天然のサプリメント」と言われるほど、栄養価が野菜です。
「ビタミンACE」のほか、ビタミンK、ビタミンB2 、鉄分 、カルシウム 、カリウム 、不溶性食物繊維 の含有量も野菜トップクラスです。
かつて、一部の飲食店でパセリの使い回しが問題になったことがあり、付け合わせを残す風潮が生まれてしまいました。しかし、現在は衛生管理が徹底され、安全に食べられるようになっています。
むしろ、パセリを残すのはもったいない!
一度に大量に食べるのは難しいですが、「ちょい足し」で食べる頻度を増やして、是非たくさん摂取したい野菜です。
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