このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2026年2月4日(立春)〜3月20日(春分)の期間を『早春の薬膳』として、冬・早春・春におすすめの食材をご案内しています。
私が薬膳を実践している理由
私は初冬から春先にかけてほぼ毎日、プロテインに混ぜてシナモンを摂っています。…そう書くと、「薬膳を実践しているのに?」と思われるかもしれません。
プロフィールでもご紹介してますが、私が薬膳を日常に取り入れている目的は「内海桂子師匠のように晩年まで日本酒を嗜みつつ、生涯現役で元気に働き続けること」です。
そのために中医学をベースとしながら、西洋医学や現代栄養学の考え方も自分なりに理解し、納得できたものは試してみるという姿勢を大切にしています。そして、実際に体質に合うと感じたものは、分野にこだわらず柔軟に取り入れています。
髪為血之余(髪は血の余り)
シナモンを摂り始めたきっかけは、40歳を前にして抜け毛が気になり始めたことでした。もともと頭皮がかたく、髪も細いタイプです。

中医学には「髪は血の余り(血が全身をめぐり、身体を十分に養ったあと、その余りが髪になる)」という考え方があります。
体質的に血が不足している感覚はなかったため、問題は「量」ではなく「めぐり」のほうかもしれない。そこで将来に向けて頭皮の血行を良くしておこうと、「血流改善」を意識してシナモンを取り入れるようになりました。
毎朝、白湯を飲んだあとにしっかりストレッチで身体をほぐし、プロテインと軽めの朝食(オートミールやクラッカーなど)をいただいているのですが、この朝の習慣が体質に合っているようで、気づけば10年ほど続いています。

シナモンの雑学
シナモンの種類
シナモンとはクスノキ科ニッケイ属の樹皮を乾燥させて作られる香辛料です。
樹皮を乾燥させると自然にくるくると巻き、棒状になったものがシナモンスティック。これを粉末状にしたものがシナモンパウダーです。

日本で流通しているシナモンは大きく2つに分けられます。
①セイロンシナモン
学名:Cinnamomum verum(同義語 C. zeylanicum)。スリランカ原産で、「真のシナモン(True cinnamon)」とも呼ばれる品種です。
②カシアシナモン(チャイニーズシナモンなど)
Cinnamomum cassia、C. burmannii、C. loureiroi など、いくつかの近縁種をまとめて「カシアシナモン」と呼びます。
セイロンシナモンとカシアシナモン
①と②はどちらも「cinnamon」として流通しており、ラベル上ではほとんど区別されていません。両者の違いは、ザックリ言うと「クマリン含有量」にあります。
クマリンとは、多くの植物に自然に含まれる芳香成分のひとつです。「干し草のような甘い香り」と表現されることが多いのですが、日本人にとっては「桜餅の葉の香り」のほうが身近な例だと思われます。

リラックス作用や抗酸化作用、血流を改善する作用などがあるとされ、海外では香料としても利用されています。
クマリン自体は自然界に広く存在する成分ですが、高用量を長期間摂取した場合、肝臓に負担をかけるリスクがある物質としても知られています。日本では食品添加物としての使用は認められておらず(天然由来のものは除く)、EU でも耐容一日摂取量(TDI)が「体重1 kg あたり 0.1 mg / 日」と定められています。
①のセイロンシナモンは、クマリン含有量が0〜68 mg/kg(0.004〜0.02%程度)と非常に少ないとされています。一方、②のカシアシナモンには2220〜7000 mg/kgという比較的高い含有量が報告されています。分析条件によっては、大さじ1杯程度で最大18 mg前後のクマリンを摂取しうる可能性もあり、「毎日長期間摂取する」という前提では注意が必要です。
そのため、私のように日常的に取り入れる場合には、クマリンの少ない①セイロンシナモンのほうがおすすめです。
おすすめのセイロンシナモン
鎌倉てとら合同会社
現在私が愛用しているのは、大茴香(八角)の記事でもご紹介した【鎌倉てとら合同会社】さんのセイロンシナモンパウダーです。有機JAS認証原料を中心に、オーガニック・無添加志向のスパイスやハーブを取り扱っているショップで、公式サイト内の直営オンラインショップのほか、Amazonや楽天市場でも購入できます。
スパイス専門店 SPANION
まだ購入したことはありませんが、こちらの【スパイス専門店 SPANION】さんも気になっています。昭和34年創業の老舗スパイス会社が直営する専門ショップで、同じく有機JAS認証のシナモンパウダーを取り扱っています。
私は身体が熱に傾きやすい体質のため、春〜秋はシナモンの摂取を控えています。そのため次の購入は少し先になりそうですが、次回はこちらを試してみたいと思っています。
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【楽天市場】SPANION スリランカ産セイロンシナモンパウダー👇️Yahoo!ショッピングでのご購入はこちらから
【Yahoo!ショッピング】SPANION スリランカ産セイロンシナモンパウダーおすすめのカシアシナモン
カシアシナモンはクマリン含有量が多いぶん、濃厚な甘い香りが魅力です。「毎日継続して多く摂る」使い方では注意が必要とされますが、たまに楽しんだり、料理にふりかけたりする程度であれば過度に心配する必要はないといわれています。
私は風味だけで言えば断然カシアシナモン派。シナモン風味のお菓子や飲み物には目がありません。自宅では、バナナやりんご、かぼちゃ、さつまいもなどにバターを散らしてフライパンやオーブントースターで焼き、熱々のところにシナモンを振りかけた簡単おやつをよく作ります(念のため、翌日のプロテインにはシナモンを入れないようにしています)。

アメ横大津屋スパイス・豆の専門店
創業から60年以上の実績を持つ老舗スパイス専門店。最大の魅力は、なんといっても品揃えの豊富さです。少量から手頃な価格で購入できるため、、いろいろ試したいときに重宝します。楽天市場店では3,980円(税込)以上の購入で送料無料になるため、複数のスパイスをまとめ買いするときにも便利です。
日本在来のシナモン「ニッキ」
シナモンは、生薬では「肉桂:にっけい/桂皮:けいひ)」と呼ばれます。主にカシアシナモン(Cinnamomum cassiaなど)を基原とする生薬です。
中国から薬物としての「肉桂」が日本に伝わったのは奈良時代。正倉院の『種々薬帳』(756年)に「桂心」という名称で記録が残されています。当時は「肉桂=中国から輸入された乾燥樹皮」という認識でした。
江戸時代になると、肉桂の木そのものが日本へ導入され、和歌山・高知・熊本・鹿児島などの温暖な地域で栽培されるようになり、一部は人里近くの照葉樹林で半野生化していきました。

ところがその後の植物学的調査により、南西諸島(徳之島・沖縄島など)には日本在来と考えられるニッケイ属植物(Cinnamomum sieboldii)が存在することが判明。日本在来のシナモンとして再評価されるようになりました。
こうして、栽培されたもの、半野生化したもの、日本にもともと存在していたとされる個体が「肉桂」として利用されるうちに、植物学的に はCinnamomum sieboldii という種として整理されるようになりました。
現代では「国産肉桂=Cinnamomum sieboldii」、「輸入肉桂=Cinnamomum cassiaなど」と理解すると分かりやすいと思います。「肉桂」の名が転じ、日本では「ニッキ」と呼ばれるようになりました。
おすすめの国産肉桂(ニッキ)
国産肉桂(ニッキ)は、植物分類としてはカシアシナモンに近いニッケイ属にあたります。そのためクマリン含有量も多いのではと推測できますが、流通量がかなり少なく、成分に関する公表データもほとんどありません。
また、日本のニッキは樹皮ではなく主に根の部分が利用されるため、甘さよりもスーッとした爽やかさが際立つ、独特の香りを持っています。
ニッキ飴や生八ツ橋など、国産肉桂を使用したスイーツや飲み物も大好きです。毎日使うのはセイロンシナモン、それ以外はたまに楽しむ存在として取り入れています。

【健康茶専門店がばい農園】国産ニッキ茶
以前の記事でもご紹介した佐賀の【がばい農園】さんでは、国産ニッキを使用したニッキ茶を販売されています。「毎日摂るほどではないけれど、国産肉桂(ニッキ)を試してみたい」という方は、ぜひチェックしてみてください。
【おまけ話】霧島神宮の鉾餅(ほこもち)
シナモン好きの私が、いまでも忘れられないお菓子があります。鹿児島県・霧島神宮の参拝記念菓子として知られる「鉾餅(ほこもち)」です。
鹿児島産の原材料にこだわった和菓子で有名な「九面屋」さんの商品で、基本的に霧島神宮の休憩所でしか購入することができません(もちろん九面屋さん店舗でも手に入りません)。さつまいもの素朴な甘さと圧倒的なシナモン感が印象的なお菓子でした。
国産肉桂が発見された地や、九面屋さんの原材料へのこだわりから、おそらく国産肉桂が使用されていたのだと思いますが…詳しいところは分かりません。ふたたび霧島神宮へ参拝する機会があれば、必ず購入したいと思っています。

シナモン(肉桂/桂皮、桂枝)の薬膳効能


シナモン(肉桂/桂皮、桂枝)には「身体を強く温め、末端までめぐりをよくする」作用があるとされています。
生薬としてのシナモン
生薬としてのシナモン(カシア=チャイニーズシナモン)は、主に樹皮部分を乾燥させた「肉桂(にっけい/桂皮)」と、若枝部分を乾燥させた「桂枝(けいし)」があります。
これらが中医学に登場するのは最古の薬物書『神農本草経』で、「牡桂(ぼけい)」「菌桂(きんけい)」という名称で記載されています。その後、明代の『本草綱目』において李時珍が、分類ごとに混在していた「桂」の呼び名を整理し、「肉桂=樹皮」「桂枝=枝」といった部位の違いによる捉え方を明確にしたとされています。
「肉桂(桂皮)」は身体を芯から温める作用が強く、「温裏薬」に分類されます。漢方薬では「八味地黄丸」や「十全大補湯」といった「冷えやすく、体力が低下した状態」に用いられる処方に配合されますが、主薬ではなく、全体の働きを支える補助的な役割として使われることの多い生薬です。
「桂枝」は「肉桂(桂皮)」に比べて温める作用は穏やかです。発汗作用を持つため風邪のひき始めなどに用いられる「解表薬」に分類されます。解表とは、身体の表面から入り込もうとする邪気を外へ追い出すイメージ。花粉症の私が現在服薬中の「小青竜湯」にも配合されています。
これらの漢方薬は、適切な用量で使用される範囲では、クマリンによる肝毒性が問題となることは少ないと考えられています。ただし、体質や症状、食生活や薬の飲み合わせによっては肝臓へ負担がかかる可能性もあります。漢方薬を服用する際は市販の用量を守り、必要に応じて医師・薬剤師にもご相談ください。
私自身が感じるシナモンの効果
シナモンの主成分のひとつはシンナムアルデヒド。研究では「血管拡張作用」「血管保護作用」が報告されています。また唐辛子のカプサイシンのように、神経を刺激して代謝を促し、熱を生み出す働きもあるとされています。ただし、これらは主に動物や細胞レベルの研究に基づくもので、ヒトでの効果については引き続き検証が進められている段階です。
とはいえ、私自身はシナモンの「身体を温める作用」を強く実感しています。冷えてお腹が痛いときや、腰が重だるいと感じるときに紅茶にシナモンを加えて飲むと、お腹が温まり、痛みがやわらぐように感じます。甘酒に加えると、さらに効果を感じやすくなります。
三寒四温のこの時期は朝晩の冷えがつらい日も多いため、「ちょい足し」で身体を温められる食材は本当に重宝します。出張の際にも小瓶に入れて持ち歩いています。
「末端までめぐりをよくする作用」については「身体を強く温める作用」ほど即時的ではないため効果を実感しにくいのですが、10年ほどシナモンを取り続けた結果、抜け毛が以前ほど気にならなくなりました。
おすすめの薬膳書籍
薬膳の効能は、書籍によって記載内容が異なることがよくあります。これは薬膳が、数千年にわたる人々の実践と経験の積み重ねで発展してきた学問だからこそ。そんなとき頼りになるのが『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』。
複数の古典書をもとに、1184種類の食材が掲載されており、薬膳を実践するならぜひ手元に置いておきたい一冊です。

先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版





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