熊本 秋酒祭り2025
先日の熊本出張の帰り、新幹線の時間まで「千代の園酒造」でご紹介した「うしじま酒店」で一杯飲もうと熊本駅へ向かったところ、アミュひろばで「熊本 秋酒祭り」が開催されていました。疲れた身体にうれしいサプライズ!迷わず新幹線の時間を遅らせ、チケットを購入しました。
開催日:2025年10月10日(金)〜12日(日)
場所:アミュひろば(JR熊本駅前)
チケット:3枚セット1,400円(1杯約90ml×3)/畳席付き2,000円
参加酒造:河津酒造、熊本酒造研究所、通潤酒造、瑞鷹、山村酒造、亀萬酒造、千代の園酒造
熊本を代表する蔵ばかりで、どれを選ぶか本気で悩みましたが、以下の3杯をいただくことに。
【亀萬酒造】芳醇うまくち ひやおろし
【通潤酒造】オーガニック純米酒 さくや
【河津酒造】しぼりたて生酒 秋あがり
おつまみは焼きたてソーセージ。涼しい秋風に吹かれながら、暮れてゆく空を眺めて一杯…最高の時間でした。

イベントは、飲んだことない酒蔵のお酒を味わえる絶好のチャンス。
初めていただいた【河津酒造】の「しぼりたて生酒(秋あがり)」が印象的でした。
春に搾った生原酒を低温で寝かせて秋に出したもので、「ひやおろし」よりもフレッシュ感が強く残るタイプです。スイスイいけるかと思いきや、ひと口目からずしんとくるパンチと厚み!なのに苦みや渋みはなく、口当たりはまろやか。
飲み終えた後も喉の奥に余韻が長く残り、旨味成分がぎゅっと詰まってるのが分かります。これを常飲していたら、ほかのお酒がすべて水に感じてしまいそう(笑)。
もう一種類提供されていた「花雪」も気になりましたが、酔いが回ったため断念。こちらは購入して帰宅しました。

河津酒造
河津酒造は、熊本県阿蘇郡小国町にある1932年(昭和7年)創業の酒蔵です。
もともとは小国町出身の日本画家・坂本善三さんの兄が営んでいた蔵を、初代・河津泰雄さんが譲り受け、「河津酒造合名会社」として新たにスタートしました。この事業承継の背景には、「地元に根ざした酒造りを残したい」という強い思いがあったといいます。
清酒の消費が落ち込んだ時期には、醸造を縮小するなどの厳しい時代も経験しましたが、2011年に東京のIT企業に勤めていた現三代目・河津宏昭さんが帰郷。
槽搾りや袋搾りといった伝統的な製法を守りながら、杜氏の勘や経験に加えてデータ分析も取り入れるなど、「次世代へと受け継ぐための酒造り」をテーマに挑戦を続けています。
住所 熊本県阿蘇郡小国町宮原1734-2(ゆうステーションより歩いて約5分)
電話 0967-46-2311
定休日 土曜・日曜
営業時間 8:30~17:30
酒蔵見学 随時(要予約)
蔵開き 例年3月中旬頃
※変更となる場合がございますので、訪問前に必ずご確認ください。
花雪(はなゆき)
取り組みの一つとして掲げているのが「毎年1本のチャレンジ」。
試行錯誤のなかで生まれた代表銘柄が、山田錦を55%まで磨き、熊本酵母で仕込んだ純米吟醸「花雪(はなゆき)」です。「白銀の世界に花が咲くように食卓を彩りたい」という願いを込めて名付けられたそう。雪深い阿蘇の地で仕込まれるお酒にぴったりの名前ですね。
日本酒度はなんと−20度。超甘口タイプです。冷やでひとくちいただくと、これまた「しぼりたて生酒」に劣らぬインパクト。甘く、濃く、まるで芳醇で往復ビンタされているようなふくよかさ!
小国町は標高が高く昼夜の寒暖差が大きい地域です。そのため発酵がゆっくりと進み、旨味がしっかり育ってどっしり芳醇な味わいとなるのだとか。なのに驚くほどのキレがあり、まさに雪のようにスッと消えていきます。
「甘めの味付けが多い九州の料理よく合う」とのことでしたので、親子丼ときのこの胡麻和えを用意しました。ここのところ忙しい日々が続いているので、気血を補う薬膳ごはんです。「花雪」はよく冷やして10℃前後の花冷えに。

冷やすことで甘みが引き締まり、華やかさが際立ちました。派手さはないけれど、落ち着いた上品な香り。あっさりした料理だと芳醇さに押されてしまうかもしれませんが、出汁の効いた甘めの味付けとは相性抜群。スルスルと喉を通っていきます。毎年完売するのも納得の一本でした。
七歩蛇(しちほだ)
「しぼりたて生原酒」も「花雪」も最初はその濃さに驚きますが、飲むほどに魅了されていくタイプの日本酒です。どうしても気になって、後日「七歩蛇 特別純米 秋水(しゅうすい)」も購入してしまいました。もうすっかり虜ですね(笑)。
「七歩蛇」は 日本の古書『伽婢子(おとぎぼうこし)』に登場する蛇の妖怪。「噛まれた者は七歩も歩かないうちに死ぬ」といわれるほどの猛毒をもつ存在で、蔵元はその伝説にちなみ「飲めば七歩も歩けぬほど旨い=ノックアウトされるほど美味しい酒」という洒落を込めて名付けたのだそう。
香りはおだやかで、前の2種類ほどのファーストインパクトは感じませんでしたが(慣れてきたのかも?)、麹の旨みがしっかり伝わります。熊本県で開発された酒造好適米「華錦」を60%まで磨き上げ、低温でじっくり熟成させた濃厚な特別純米酒。日本酒度は±0度で中庸ながら、キレがよく後味はスッキリです。
米の旨みが強いので、ごはんに合うようなおつまみーー焼き鮭と豚汁を合わせてみました。

「花雪」ほどの繊細さはないので味付けをやや濃いめにしたところ、これが大正解。塩気のある強い焼き魚や、コクのある味噌料理にぴったりです。
もともと汁物をつまみに飲むのが好きなのですが、「七歩蛇」はこれからの季節、お鍋や温かい麺類の食中酒として大活躍しそう。地元では常温〜ぬる燗でゆっくり晩酌を楽しむ人が多く、 冬場は囲炉裏のそばでちびちびやるのが定番だそうです。
【熊本県・小国町】ふるさと納税
河津酒造さんの日本酒は、ふるさと納税返礼品としても取り扱いがあります。
「花雪」は女性的で華やか、贈答用として人気があります。「七歩蛇」は男性的で力強い印象。どちらも伝統の「槽搾り(ふなしぼり)」を守りながら、手間を惜しまない丁寧な酒造りが続けられています。「槽搾り」とは、酒袋を幾重にも重ね、自然の圧力だけでじっくりと酒を搾る製法。大量生産には向かないぶん、手造りならではの繊細さが感じられる一本に仕上がります。
そんな希少な日本酒だからこそ、ふるさと納税を通して手にとってみてはいかがでしょうか?各地の蔵や食材を知るきっかけとしてもおすすめです。小国町の自然と人の手が育んだ味わいを、ぜひご自宅でお楽しみください。
こちらのサイトもおすすめです。ぜひご参照ください。
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