千徳酒蔵

Sentoku Brewery’s summer daiginjo and canned sake with purple scallion stir-fry 日本酒

先日、出張で宮崎市を訪れました。
仕事が予定より早く終わったので、前から気になっていた橘通の酒屋さんに立ち寄ってみることに。

大阪屋

Exterior view of “Osakaya”, a long-established liquor store in Miyazaki City
Founded in 1928, Osakaya is a beloved local liquor shop known for its wide selection of shochu and sake.

おじゃましたのは、1928年創業の老舗酒屋「大阪屋」さん。「宮崎で“大阪屋”?めずらしい名前だな」と思っていたのですが、もともとは四国・愛媛県八幡浜市で始まったお店なのだそうです。

八幡浜は、かつて「伊予の大阪」と呼ばれていたほど商業が盛んな港町。その地で暖簾分けした初代が宮崎へと渡り、現在の「大阪屋」を開業されたのだとか。今は三代目にあたる坂本須美さんが、店を切り盛りされています。

店舗情報

住所 宮崎市橘通西3-2-26(宮崎交通バス「橘通3丁目」から徒歩1分)
電話 0985-25-3166
定休日 日曜・祝日
営業時間 10:00〜19:00

※変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

Shochu section inside Osakaya, a liquor store in Miyazaki City
The shochu shelves are lined with a wide range of bottles, from local favorites to unique craft selections. A paradise for shochu lovers.

焼酎の品ぞろえはもちろん、日本酒、リキュール、洋酒、ワインも豊富!店内には常時400~500種類もの銘柄が並んでいて、日本酒コーナーには見たことのないラベルがずらり。どこかレトロな雰囲気といい、お酒好きにはたまらない空間です。

Refrigerated sake section inside Osakaya, a liquor store in Miyazaki City
The sake fridge is filled with bottles from breweries like Sentoku, including seasonal limited editions and unique local labels.

「宮崎の酒蔵で、おすすめのものをください」とお願いすると、四代目の坂本健宏さんがとても親身に相談にのってくださいました。その場で試飲させてもらったのが、延岡市にある「千徳酒造」さんの夏の限定酒です。

Tasting corner inside Osakaya, featuring sake from Sentoku Brewery
At Osakaya, you can sample local sake right in the store. This time, I had a taste of Sentoku’s summer daiginjo.

千徳酒蔵

千徳酒造は、1903年(明治36年)創業。
焼酎が主流の宮崎県にあって、唯一、日本酒(清酒)を専門に造り続けている酒蔵です。

ルーツは、多くの有志の出資によって設立された「恒富酒造合資会社」。
当時としては珍しい“非同族経営”の形を取り、創業から今日に至るまで、世襲ではなく「酒造りに情熱を持つ者たち」によって技術と想いが受け継がれてきました。

第二次世界大戦で蔵が全焼するという被害を受けながらも、終戦から3年後の1948年にゼロから再出発。同じ土地に蔵を再建し、戦後の合併や制度改革を経て、1961年に現在の「千徳酒造株式会社」へと改名されました。

社名の「千徳」には、「このお酒を飲む人々に千の徳が訪れますように」という願いが込められているそうです。

蔵はJR延岡駅から徒歩圏内にあり、お隣の「はなかぐら館」では試飲をしながらお酒を購入することも可能。蔵開き以外でも、予約をすれば見学可能だそうなので、仕込みの時期(1〜2月頃)に、いつか訪れてみたいと思います。

酒蔵情報

住所 宮崎県延岡市大瀬町2-1-8(JR延岡駅から徒歩10分)
電話 0982-32-2024
定休日 土曜・日曜・祝日
営業時間 8:30〜17:00
酒蔵見学 可能(平日のみ:要予約)
蔵開き 例年2月中旬頃

※変更となる場合がございますので、訪問前に必ずご確認ください。

純米酒とアル添酒

日本酒には、米(および米麹)と水だけで造る「純米酒」と、そこに醸造アルコールを加える「アル添酒」があります。

🍶日本酒の分類原料特徴
純米酒米(および米麹)と水だけ旨み・コクがしっかり
アル添酒(本醸造酒など)上記+醸造アルコールスッキリとした飲み口
普通酒特に規定のない「その他の酒」味わいも価格もピンキリ

戦後、米や酒の不足を背景に「三増酒(さんぞうしゅ)」と呼ばれる手法が広まりました。
これは、もろみに大量の醸造アルコールや糖類を加え、酒の量を約3倍に増やすというもので、コスト削減と増量が目的です。品質が低いものも多く、「アル添=悪い酒」というイメージが根付く一因となりました。

この「三増酒」は2006年の酒税法改正により清酒として認められなくなり、現在は添加できるアルコール量も厳しく制限されています。

現代において、醸造アルコールを加える理由は「味わいや香り、飲み口にアクセントを加えるため」。日本酒の個性を引き出すための、作り手の技法の一つなのです。

ちなみに醸造アルコールとは何かというと、ザックリ言えば焼酎(甲類)です。穀物などを蒸留し、無味無臭で純度の高いアルコールにしたもの。果実酒を漬けるのに使うホワイトリカーや、「キンミヤ焼酎」「宝焼酎」などと同じような原料が使われています。

【千徳】夏の大吟醸

「福岡では手に入らないものを」とお願いしたところ、四代目がおすすめしてくださったのが、夏限定の大吟醸。仕込み数が限られており、地元・延岡にしか出回らないのだとか。

「夏の大吟醸」は本醸造酒に該当します。醸造アルコールを、使用する白米の重量の10%以内で添加したもの(酒税法の規定)。つまり、ほんの少し焼酎を加えたようなお酒ということになりますね。

「キンキンに冷やしてお召し上がりください」というアドバイスに従い、しっかり冷やしてから晩酌スタート。おつまみは、近所のスーパーで見つけた宮崎県産の紫らっきょうにタルタルソースを添えたものです(作り方は「らっきょう」記事をどうぞ)。

Sentoku “Summer Daiginjo” paired with purple scallions and homemade tartar sauce
A refreshing summer sake pairing—Sentoku’s crisp “Summer Daiginjo” served with Miyazaki-grown purple scallions and tartar sauce. Perfect for a light evening drink.

グラスに注いだ瞬間から、爽やかな香り。

飲み口はスッキリしていて、飲んだそばからシュワッと蒸発していきそうな、夏にぴったりのドライな辛口です。この吟醸香やキレの良さが、まさに醸造アルコールによって引き出された個性だと思われます。アルコール度数は15度とやや軽め。私はこれを炭酸水で割って、さらにサッパリと楽しむのが夏場のお気に入りです。

【千徳】アルミ缶カップ

限定酒だけでなく、定番酒も買って帰りたい…。そう思いつつも、瓶は重たいし荷物になるしと迷っていたところ、四代目がすすめてくださったのが、アルミ缶入り・飲みきりサイズの普通酒でした。

Sentoku sake in an aluminum can paired with stir-fried purple scallions
The gentle flavor of Sentoku’s can sake pairs perfectly with this purple scallion champuru. A cozy and satisfying dinner pairing.

こちらは、米の旨味というか…麹のコクをしっかり感じられるような、ふくよかな味わい。千徳の普通酒は、「飲み飽きない、食に寄り添う地酒」を目指して造られており、麹歩合をやや高めに設定してあるそうです。

醸造アルコールは香りを引き立てる程度に抑えられ、控えめでやさしい飲み口。食事と一緒に、ゆるゆると楽しむのにぴったりです。わたしは冷や(常温)でいただきましたが、お燗にしても美味しいと思います。

紫らっきょうは「生でも食べられる」とのことでしたが、私には少し辛味が強過ぎ…。薄切りにしてチャンプルーも作りました。これはシャキシャキして美味しかったです。ついでに残りの紫らっきょうを味噌漬けにしたのですが、缶入り千徳にはそっちを合わせるべきでした…!発酵食品との相性、抜群だと思うんですよね。痛恨のミス…!

ネットで購入できる商品

今回、「え、これ本当に普通酒…?」と驚くような一本に出会えたのは、かなりラッキーでした。

酒米を丁寧に削って仕上げる純米酒とは違い、普通酒はコストとのバランスや造りの工夫がものを言う世界。つまり、「蔵の実力」が一番わかりやすく表れる部分でもあるんです。

実際、日本酒好きの間では「技術力のある蔵は、普通酒が美味しい」というのは、よく知られた話。千徳酒造さんは、まさにそれを体現している蔵だと思います。

大阪屋さんで試飲させてもらった純米大吟醸「夢の中まで」も絶品でした。桃を思わせるような華やかな吟醸香と、スッキリとした味わい、キレの良さ。「米と水だけでこんな味が出せるの?」と、思わずつぶやいてしまったほど。普段日本酒を飲まない人にも是非味わってみてほしい…(そして感想を聞かせて欲しい…)。

今回は限定酒を優先して断念しましたが、近い内に購入しようと思っています(追記:もう購入しました。あまりに美味しかったので)。雪冷え(5〜10℃)くらいに冷やして、夏の夕方にゆっくり味わいたい。

「千徳 夏の大吟醸」や「千徳 アルミ缶カップ」は地元でしか手に入らないレアものですが、今回試飲した「夢の中まで」や、アルミ缶の元となった「千徳 金雫」はネットでも購入可能です。

Amazonで購入できるリンクを貼っておきますので、ぜひ一度お試しください!
千徳酒造 純米大吟醸 夢の中まで
千徳酒造 純米大吟醸 夢の中まで 箱入 720ml アルコール分15度 [宮崎県]

楽天やYahoo!ショッピングでも購入できます


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Yahoo!ショッピングには、なんと「夏の大吟醸」を取り扱っているショップがありました!こちらは限定酒なのでお早めにご購入ください。


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【宮崎県・延岡市】ふるさと納税

 千徳酒造さんの日本酒は、ふるさと納税でも取り扱いがあります。

大阪屋さんで試飲させていただいた日本酒のうち、「次は絶対にこれを買う!」リストに入れていた3本が、偶然セットで返礼品になっていました(もちろんポチりました!)。

日本最南端の日本酒専門蔵が醸す、丁寧でやさしいお酒。ご自宅で、ゆるゆると味わってみてはいかがでしょうか。

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