このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2025年5月5日(立夏)〜6月11日(入梅)の期間を『初夏の薬膳』としてご案内しています。
さやえんどうについて
さやえんどうとは
マメ科エンドウ属の「エンドウ」は、サヤの硬さによって「硬莢種(こうきょうしゅ)」と「軟莢種(なんきょうしゅ)」に分けられます。
サヤが硬い硬莢種は、主に中の種子を食用とします。未熟な種子を若採りしたものがグリーンピース、完熟して乾燥させた種子が青えんどう豆。青えんどう豆はうぐいす餡の材料として使われます。
サヤごと食べられるように品種改良された軟莢種には、絹さややスナップえんどうがあり、これらを総称して「さやえんどう」と呼びます。
絹さやについて
絹さやには白い花をつける白花系と、赤紫色の花をつける赤花系があり、どちらも開花から約15日程度の若いサヤを収穫して食べます。絹さやを収穫せずそのまま育て続けると、中の豆が大きく成長してグリーンピースになります。
絹さやの名称の由来は、収穫時にサヤ同士がこすれる音が、絹織物がこすれ合う音に似ていたことからと言われています。
スナップえんどうについて
スナップエンドウはアメリカで開発された野菜です。豆が成長してもサヤが硬くならないよう、グリーンピースを品種改良したものです。名前の由来は、英語の “snap(ポキッと折れる)” 。
日本には1970年代に導入されましたが、“snap”より“スナック(軽食)”の方が親しみやすいと判断され、種苗会社「サカタのタネ」が「スナックエンドウ」という商品名で販売しました。その後1983年に農林水産省によって名称が「スナップエンドウ」に統一され、現在ではこの呼び名が定着しています。
さやえんどうの産地と旬
さやえんどうの旬は3〜5月。
鹿児島、熊本、長崎など出荷量の多い県が九州地方に集まっているため、福岡では1〜2月頃からスーパーに並び始めます。さやえんどうは暑さに弱く、主に冬から春にかけて栽培されます。ほとんどが露地栽培のため、出回る時期(旬)が限られているのです。
夏場にもスナップえんどうが販売されているのを見かけることがありますが(北海道産が多め)、九州では旬を過ぎると価格が高騰する傾向にあります。
同じ市内に住んでいる父が家庭菜園をやっているので、4月〜5月にかけて絹さややスナップえんどうをよく分けてもらいます。採れたてはやわらかくてみずみずしく、甘味が強くて本当に美味しいです。

本日のレシピ:茹でるだけ(笑)
さやえんどうは乾燥に弱く、放置しておくとすぐにしんなりとしてしまうので、当日食べない分は乾燥除けのためキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れてから野菜室で保存します。

絹さやは片方の豆側(大きいものは両方)、スナップエンドウは両方のすじを取り除いてから下茹でします。沸騰した湯に投入し、絹さやは20秒、スナップえんどうは1分。色止めのため冷水に取るレシピもありますが、私はそのまま放置して粗熱を取ります。

絹さやは丁寧にすじを取っても口に繊維質が残るような感じがして、あまり好みではありません。細切りにすると気にならないため、刻んでサラダやナムルに使っています。

一方、スナップエンドウはさやえんどうのシャキシャキ感とグリンピースの甘みを同時に味わえるので、子どもの頃から大好きです。いろいろなレシピを試したいと思っているのですが、茹でたてを辛子マヨで食べるのが美味しすぎて、他に回す余裕がありません。今日はめずらしく、柚子胡椒浸しにしてみました(『きのう何食べた?』8巻でみたレシピです)。
おすすめの調味料
お浸しに使用した調味料は、このブログでたびたび登場している「くばらあごだしつゆ」と、「柚乃香本舗」の柚子胡椒です。
九州人にとって柚子胡椒は、日々の食卓に欠かせない存在。選ぶ際のポイントは、ずばり「量より質」です!チューブタイプの柚子胡椒も市販されていますが、正直なところ、美味しいものに出会ったことがありません。柚子胡椒は断然、少量・瓶入りがおすすめです(開封から半年もすれば風味が飛んでしまうので、使い切れるサイズがベター)。
ご紹介する「柚乃香本舗」は福岡県の霊峰・英彦山(ひこさん)のふもとで創業70年以上の歴史を持つ”元祖ゆずごしょう”の老舗。英彦山の山伏伝来の味を、今も山伏の子孫が受け継いで製造しています。農園や契約農家で無農薬栽培された地元産の柚子と唐辛子を使用し、素材本来の香りと辛味を活かした製法が特徴です。
開封した瞬間、ふわっと立ち上がる爽やかな柚子の香りは感動もの。刺し身、餃子、鍋はもちろん、生クリームやバターとの相性も良く、パスタやムニエルの隠し味にもおすすめです。
Amazonで購入できるリンクを貼っておきますので、ぜひ一度お試しください!
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さやえんどうの薬膳効能

さやえんどうには「気を補い、余分な湿を排出して脾胃を作用整える」作用があるとされています。
さやえんどう、グリーンピース、赤や青のえんどう豆などは、薬膳ではまとめて「えんどう豆」として扱います。
えんどう豆は『脾(ひ)』を健やかにし、その働きを高めることで、体のエネルギー源である『気』を補う作用があります。
『脾』とは、西洋医学でいう『脾臓』ではなく、胃腸などの消化器系を指します。
『脾』は「気血化生の源」とも呼ばれ、飲食物から『気(営気)』を生み出し、全身を栄養します。
この働きが弱くなると、気が不足して『気虚』となり、だるさや疲労感が現れやすくなります。
「春の薬膳」でご紹介しましたが、臓腑にはそれぞれ苦手なもの(負担となる要因)があるのですが、『脾』が苦手なものは「冷えと湿」です。
何らかの原因で身体に『湿(余分な水分)』が発生し、それが『脾』であれば消化吸収機能が衰え、食欲不振や下痢などの症状を引き起こす場合があります。
えんどう豆には、余分な水分を排出(『利湿』)して『中焦(脾胃)』を調和する『和中』の働きがあるため、気温が上がって冷たいものをガブ飲みしたり、薄着でお腹周りを冷やしがちな今からの時期におすすめの食材です。
栄養学的には、緑黄色野菜に多いビタミンA(βカロテン)やビタミンC、豆類に多いビタミンB群や食物繊維をバランス良く含んでいます。
ビタミンAとCは抗酸化作用があり、免疫力の維持や風邪予防、美肌づくりに役立ちます。
また、ビタミンB群やミネラルなど代謝をサポートする栄養素も含んでおり、余分な水分の排出を助けるカリウムや、腸内環境を整える食物繊維も豊富で、老廃物をためにくい体づくりに役立ちます。
おすすめの薬膳書籍
薬膳の効能は、書籍によって記載内容が異なることがよくあります。これは薬膳が、数千年にわたる人々の実践と経験の積み重ねで発展してきた学問だからこそ。そんなとき頼りになるのが『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』。
複数の古典書をもとに、1184種類の食材が掲載されており、薬膳を実践するならぜひ手元に置いておきたい一冊です。
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