このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2025年11月7日(立冬)〜12月22日(冬至)の期間を『初冬の薬膳』としてご案内しています。
れんこんの産地と旬
れんこんは、好きな野菜の中でもかなり上位に入ります。
通年見かけますが、旬は晩秋から冬にかけて。10月以降は価格が落ち着くので、冷蔵庫に常備しています。
れんこんの産地
れんこんの出荷量1位は茨城県。なんと国内シェアの約5割を占めます。
2位は福岡のおとなり佐賀県で、近いこともあり福岡では比較的手頃な価格でれんこんを購入することができます。
佐賀県の白石平野は有明海の干拓で生まれた肥沃な土地で、土質はもちっと重い「重粘土質」。水もちが良く、れんこんの栽培に適していると言われます。
その中でも大正11年に栽培を始めた福富町は、昭和22年に出荷組合を設立。長い年月の積み重ねと地域ぐるみの取り組みが実を結び、現在の白石町(旧白石町・福富町・有明町が合併)として「しろいしレンコン」のブランドが定着しました。
「古伊万里酒造」の記事にも「白石れんこんと牛すじ煮」が登場しましたが、佐賀や福岡、長崎の飲食店で「白石れんこん」の名前があれば注文して間違いありません。
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れんこんの旬
「蓮子(蓮の実)」の記事で福岡市・舞鶴公園の蓮の花をご紹介しましたが、福岡では毎年7月下旬〜8月頃に見頃を迎えます。蓮の生えている水面の下、泥の中には蓮の地下茎であるれんこんが広がっています。※同じ蓮でも観賞用と食用があり、観賞用の品種は地下茎があまり太くならないため食用には向きません。
花が散り、花托も枯れて蓮の実が落ちた後、水中では地下茎に栄養が蓄えられ、れんこんが太く成長します。

泥中で十分に成長したのち、そのまましばらく寝かせておくことでデンプン質が少しずつ糖に変化し、旨味が増した10月〜2月頃に収穫されます(これは佐賀県産の例。産地によって時期は異なります)。
一方、この”寝かせ期間”をあまり置かずに早めに収穫したものが新れんこんです。透き通るような白さで、みずみずしくシャキシャキした食感が特徴。佐賀県産は8月下旬〜9月頃に出回ります。さらに、露地栽培ではなくビニールハウスなどの施設栽培されたものは、早ければ6月頃から店頭に並びはじめます。
れんこんの選び方とレシピ・保存方法
れんこんの部位
「蓮の根」と書いてれんこんと読みますが、正確には地下茎が肥大化した部分。細い根は、その地下茎からヒゲのように生えています。

れんこんは、いくつもの節(ふし)が連なったつくりをしています。節から新芽が伸びて次の地下茎が生まれ、それを繰り返しながら横へ横へと広がっていきます。生育条件が良ければ、最終的に数メートルに達することもあります。
成熟が進むほど繊維質とデンプン質が多くなり、シャキシャキ食感からモチモチ・ホクホク食感に変わっていきます。

| れんこんの節 | 見た目 | おすすめ調理法 |
| 若い節(新芽に近い部分) | 小さめ・丸or新芽が伸びかけているような形 | サラダ・和え物 |
| 中間部 | ふっくらと丸い | 煮物・揚げ物・きんぴら・etc… |
| 成熟した節 | やや細長く、寸胴でシュッとした形 | 粘りを活かした料理(すりおろして、とろみやつなぎなど) |
10月〜11月の”出始めれんこん”は、若い節を収穫したものが多く、あっさり・シャキシャキを活かすためにサッと湯がいてサラダや和え物にするのがおすすめです。
年末ごろに出回るれんこんはデンプン質が多くなり、甘みや粘り気も増しています。煮物にするとホクホク食感になり、お正月のがめ煮(筑前煮)には欠かせません。モッチリ食感を活かして、すりおろしてつみれやハンバーグのタネに混ぜたり、スライスしてれんこんチップスにするのも向いています。
れんこんの下処理とレシピ
先日200円で購入したパックには、若い節が10個も入っていました。
れんこんはあまり日持ちしないため、それから一週間はれんこん三昧。

新鮮な若い節は生で
新鮮な若い節は、生で食べることができます。
ただし、れんこんは デンプン質と食物繊維が多く、あまり消化が良いとはいえない食材。胃腸が弱い方や体調に不安があるとき、また食べ過ぎには注意が必要です。心配な場合は、軽く火を通してから食べるほうが安心です。
梅和えにすると、酢水に浸けなくても梅のクエン酸のおかげで変色を抑えることができ、さっぱりした酸味のおかげでシャキシャキ食感も引き立ちます。
下処理・保存
3〜4日以内に食べる分は、泥付きのまま冷蔵保存します。れんこんは時間がたつと水分が抜けて乾燥してしまうため、多くの場合泥付きの状態で出荷されています。
低温と乾燥を防ぐために新聞紙で包んでからビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。
※泥付きでないもの、または切られて断面が見えている状態のれんこんは傷みやすいので、なるべく早めに食べきるのがおすすめです。
残りは甘酢漬けと塩昆布和えにしました。
①れんこんをやや厚めにスライスします(皮の有無はお好みで)。
②沸騰した湯に少量のお酢を加え、れんこんを投入。中火〜強火の状態を保ったまま、湯が再び沸騰するくらいのタイミングでザルにあけ、水にさらさずそのまま冷まします。
※れんこんの変色(褐変)はタンニン(ポリフェノールの一種)が酸化したもので、食べても問題ありません。お酢を入れるのはアク抜きというより色止めのためなので、気にならなければ入れなくても大丈夫です。
※冷凍保存することもできますが、味も食感も落ちるので、私は冷蔵のうちに食べ切る派です。
甘酢漬けには「庄分酢」さんの「美味酢(うます)」を使用しています。手軽でとても美味しく、「美味酢」を購入してから食卓に酢の物がのぼる頻度がかなり増えました。
塩昆布和えはポリ袋やジッパー付き保存袋に入れ、なるべく空気を抜いた状態で保存します。いろいろアレンジがきくので作っておくと便利です。
翌日以降は加熱して
サラダや和え物以外では炒め物にすることが多いのですが、そのときは皮は剥かずアルミホイルでこすり洗いするだけ。泥と薄皮がほどよく落ちます。
小林ユミヲさん著『にがくてあまい 10巻』に登場する塩きんぴらが大好きで、わが家の定番メニューとなっています。分量などの細かなレシピは、ぜひコミックをチェックしてみてください。

①フライパンにオリーブオイルを入れ、ニンニクと鷹の爪を炒めて香りを出します。
②れんこんを中火で炒め、油が馴染んだら戻した乾しいたけを入れます。
③乾しいたけの戻し汁と酒を加え、汁気がなくなるまで炒めます。
④塩で味つけします。
シンプルですが、れんこんのシャキッとした歯ざわりと、乾しいたけの旨味がきいて、お酒にもごはんにも合う一品になります。
れんこんの薬膳効能


れんこんは生と加熱で効能が違います。
生れんこんには「肺を潤し熱を冷ます」作用、加熱れんこんには「胃腸の働きを整える作用」があるとされています。
生のれんこんには『肺』を潤し、熱を冷ます作用があるとされます。
子どもの頃に風邪で高熱や咳が出ると、母がよく「れんこん湯」を作ってくれました。薬膳というよりは民間療法ですが、不思議なほど咳が治まります。今でも喉の炎症を感じたり、痰が絡むような咳が出る時に作ります。

①水100ccに葛粉大2を溶かしてから火にかけ、透明になるまで練ります。
②皮ごとすりおろした蓮根を加え、「くばらあごだしつゆ」小さじ2を加えて味を整えます。
れんこんの皮に多く含まれるタンニンには抗酸化作用や消炎作用があり、喉の痛みや咳をやわらげたり、炎症を鎮めたりするのに使われてきました。切り口がすぐに茶色く変色するのは、このタンニンが空気に触れて酸化するためです。
また、れんこんには意外にもビタミンCが豊富。レモン果汁にも匹敵するほどのビタミンCが含まれており、しかもデンプン質がビタミンCを守ってくれるおかげで加熱しても比較的壊れにくいという特徴があります。
この記事でご紹介した「梅あえ」や「甘酢漬け」は、肺を潤しつつビタミンCもとれる、乾燥対策や風邪予防にも心強い常備菜です。
ただし、生のれんこんは身体を冷やしやすく、消化もしにくいという面もあります。胃腸が弱い方は少量から試すか、加熱したれんこんをメインに取り入れるほうが安心です。
一方、加熱したれんこんには『脾胃』の働きを高める作用があるとされます。
加熱によってデンプン質がアルファ化し、消化が良くなるだけでなく、胃の粘膜をやさしく守るような働きをするといわれています。また「オクラ」の回でも触れたムチレージ(植物性粘質多糖類)も含まれており、消化促進や整腸作用といった効果も期待できます。
中国の薬膳レシピでは、れんこんの穴にもち米を詰めて砂糖水で蒸し煮にする甘いおやつのような料理もよく登場します。……が、私にはかなり甘く感じてしまい、正直ちょっと苦手な味でした。
おすすめの薬膳書籍
薬膳の効能は、書籍によって記載内容が異なることがよくあります。これは薬膳が、数千年にわたる人々の実践と経験の積み重ねで発展してきた学問だからこそ。そんなとき頼りになるのが『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』。
複数の古典書をもとに、1184種類の食材が掲載されており、薬膳を実践するならぜひ手元に置いておきたい一冊です。

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