このブログでは、季節に合わせた薬膳食材をご紹介しています。
2025年3月20日(春分)〜5月5日(立夏)の期間を『春の薬膳』としています。
イカについて
福岡のイカの旬
イカはとても種類が多く、日本近海でも80種類以上が生息しているそうです。
時期や場所によって獲れる種類が変わりますが、福岡の代表は以下の通りです。
・2月〜5月頃…コウイカ
・4月~7月頃…アオリイカ(水イカ)
・5月〜9月頃…ケンサキイカ
・冬〜春…ヤリイカ
・通年(とくに夏)…スルメイカ
今の時期、福岡市内の鮮魚コーナーで目にするのはコウイカとホタルイカです。
コウイカ
福岡では2月中旬頃から玄界灘でコウイカ漁がはじまります。
コウイカは、背側が堅い甲羅で覆われることから「甲イカ」と名付けられたそうです。イカをさばく時、通常は軟骨を「下から引き抜く」イメージですが、コウイカの場合は甲羅がデカいため「切開して取り除く」感じです。

イカは大きく2種類に分けることができ、英語ではコウイカのような硬い甲羅を持つコウイカ目のイカを”cuttlefish”、スルメイカのような軟骨を持つツツイカ目のイカを”squid”と呼び分けしています。
コウイカは別名で「スミイカ」とも呼ばれるほどたくさん墨を持っています。墨袋を破かないように捌けば良いのでしょうが、私はかなりの確率で破いて流し台を真っ黒にしてしまいます。そのためあまりコウイカを購入することはありません。ちなみにイカ墨料理にも使われるのもコウイカらしいです。
刺身や寿司ネタでもよく見かけますが、肉厚でもっちりとしているため、天ぷらなど加熱するとかなり食べ応えがあります。
ホタルイカ
ホタルイカは主に兵庫県や富山県で多く漁獲されており、九州でも水揚げされなくはないのですが、漁獲量が少なく地元産はあまり流通していません。
腕や腹部に発光器を沢山もち、蛍と同じように青く光ることからホタルイカと呼ばれます。富山湾の幻想的な漁が有名ですよね。私はラズウェル細木さんの『食のほそ道19巻:第20話「富山出張③」』ではじめて存在を知りました。
たまにおすすめ書籍をご紹介していますが、私はあまり展開に起伏のない、日常に寄り添うような食に関するエッセイや漫画が好きです。『食のほそ道』は主人公の性格に少しイラッとするものの、食に関する知識が豊富で勉強になりますし、ほのぼのと読めるので大好きな漫画のひとつです。
ホタルイカはとても傷みが早く、鮮度が落ちるとすぐに腐ってしまうため、水揚げ後すぐに釜茹でしてから出荷されることが多いです。福岡で生のホタルイカを見かけたことは数えるほどしかありません。
生のホタルイカには「旋尾線虫」という寄生虫がついていることが多いため、しっかり加熱して食べなければなりません。内臓を取り除いても、ホタルイカが死ぬと寄生虫は他の部分に移動することがあるため、100%安全とは言いきれません。『食のほそ道15巻:第17話「ほたるいか」』では、ホタルイカのおすすめの食べ方としてしゃぶしゃぶが紹介されていました。これなら生に近い食感でしっかり加熱もできますね。
釜揚げホタルイカは、舌触りを良くするため、目玉・くちばし(足の間にある硬い部分)・軟骨(胴体内にある薄いプラスチックのような細いもの)を取り除きます。このような無心にコツコツとできる作業は嫌いではありません。私はホタルイカが(というより魚介類全般が)苦手なのですが、同居人が食べたがるため、今の時期は頻繁に購入しています。
イカの薬膳効能

『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』元気幸房代表 竹内郁子編著:ブイツーソリューション出版より
イカは身体を潤す効果があると言われています。
イカは中医学において、「陰(いん)」と「血(けつ)」を補い、身体に潤いを与える代表的な食材です。乾燥による肌トラブルや、コロコロと硬い便が特徴の乾燥性便秘の改善に役立つとされています。
月経をコントロールする『肝』の血を補うため、婦人科系の不調にも有効で、生理不順や月経痛、PMS(月経前症候群)などの症状を和らげる効果も期待できます。
栄養素的には良性のタンパク質やタウリンが豊富に含まれており、滋養強壮や疲労回復に役立ちます。さらに、血を作る栄養素であるタンパク質やビタミンB12、銅や鉄分などのミネラルなども含まれ、血液の質や量を向上させます。
血液をドロドロにすると言われるコレステロールを多く含みますが、そのほとんどが善玉コレステロールであり、健康に悪影響を及ぼす心配はありません。むしろ、タウリンが血中コレステロールのバランスを整え、血液をサラサラにする働きがあります。これにより、血のめぐりが良くなり、『瘀血』による不調(血行不良が原因の冷えや痛み、生理不順など)の改善に役立つと考えられます。
イカのタウリンは熱に弱いので、タウリンの効能を取り入れたい場合は、生食かサッと火を通す程度の調理法がおすすめです。また、イカは消化に負担がかかることがあるため、胃腸が弱い人は適量を心がけ、少量をコツコツと続けて食べるのがおすすめです。
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