このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2025年11月7日(立冬)〜12月22日(冬至)の期間を『初冬の薬膳』としてご案内しています。
鮭?マス?サーモン?
鮭
日本で「鮭」といえば主にシロザケ・ベニザケ・ギンザケを指すことが多いようです。いずれもサケ科タイヘイヨウサケ属(Oncorhynchus)に分類されます。
シロザケ
かつて日本で「鮭」といえば、このシロザケのみを指していました。北海道土産の定番”木彫りの熊”が咥えているのもこのシロザケです。今でも主な漁獲地は北海道や東北地方で、そこから全国へ出荷されています。
シロザケは川の上流で生まれ、稚魚のうちに海へ出て数年かけて成長し、秋から冬にかけて再び生まれ故郷の川へ戻って産卵します。そのため10~11月頃に「秋鮭」や「北海道産」と表記されている生鮭はシロザケである可能性大。産卵期の鮭は程よく脂が落ちて身が締まるため、焼鮭にすると最高です。

ベニザケ
ベニザケはほぼ輸入品で、日本近海ではほとんど漁獲されません。北海道の一部湖沼には自然生息するものもいますが、それらは「ヒメマス」と呼ばれます。ベニザケは塩鮭やスモークサーモンなどの加工品として流通することが多いです。
ギンザケ
ギンザケはほぼ養殖です。国産の中心は宮城県で、国内養殖の約8割を占め、スーパーでは「国産・生鮭」として店頭に並びます。輸入品は主に塩鮭やコンビニのおにぎり用など加工品に回されることが多く、ベニザケより少しカジュアルな扱いで市場に出回ることが多いようです。
鮭とサーモンの区別
鮭は英語で”サーモン”ですが、スーパーでサーモンとして並ぶものの多くは「鱒(マス)」であることが多いようです。
シロザケやベニザケなどの「鮭」にはアニサキスなどの寄生虫が多いため、生食には適していません。近年では、生食用として管理された養殖魚を”サーモン”、天然で加熱前提のものを”鮭”という具合に、目的によって呼び分けられるようになりました。
北海道には”鮭”を一度凍らせ、寄生虫を死滅させてから食べる「ルイベ」という伝統的な調理法があります。

| 表記名 | 種類 |
| 鮭 | 天然で加熱前提のサケ・マス類(シロザケ、ベニザケ、ギンザケなど) |
| サーモン | 生食用に養殖されたサケ・マス類(キングサーモン、カラフトマス、トラウトサーモンなど) |
ちなみに英語ではサーモン(Salmon)は海に下るタイプ、マス=トラウト(Trout)は淡水で暮らすタイプを指しますが、学術的にはどちらもサケ科で、その境界はかなり曖昧です。
キングサーモンとアトランティックサーモン
キングサーモンはベニザケやギンザケと同じサケ科タイヘイヨウサケ属に分類され、主に海外からの輸入品です。日本ではほとんど獲れないくせに「マスノスケ」という和名もあります。
アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)はサケ科サケ属に分類され、飼育管理がしやすいため流通しているほとんどが養殖です。ノルウェーやチリからの輸入品が中心で、刺し身やカルパッチョにもよく使用されます。
どちらも回転寿司の人気ネタです。

マス
日本で「マス」と聞いてまず思い浮かぶのは、富山の鱒寿司で使われるサクラマスと、ムニエルでお馴染みのニジマスでしょう。
サクラマス
サクラマスは日本海に春を告げる魚として日本海沿岸で親しまれてきました。かつて富山を流れる神通川では豊富に漁獲されていたものの、環境変化や河川改修などの影響でその数は激減し、今では”幻の高級魚”として扱われています。そのため駅弁の”鱒寿司”に使用されるマスは、現在ではカラフトマスなどで代替されるケースが多いようです。

ちなみに一生を淡水で過ごすベニザケを「ヒメマス」と呼ぶように、サクラマスの淡水型を「ヤマメ」と呼びます。ヤマメは20cm程度のサイズが一般的ですが、海に出てサクラマスになると60cmほどにまで成長します。
カラフトマス
カラフトマスは名前の通り北海道を中心に水揚げされる魚で、漁獲量が多く価格が抑えられているため様々な加工品に活用されています。「ピンクサーモン」とも呼ばれ、スモークサーモンや寿司ネタ、鮭缶やおにぎりで「鮭」扱いされることも多いです。中には「北海道産・秋鮭」と表示されていても、実はこのカラフトマスである可能性が高いものもあります。
ニジマス(トラウトサーモン)
ニジマスは外来種で、放流によりあちこちの湖や川に生息しています。「キャンプで釣ってバーベキュー!」のイメージが強いですね。養殖も盛んですが、市販されることは少なく主に飲食店向けに流通しています。
淡水魚のイメージが強い一方で、ノルウェーやチリでは「トラウトサーモン」という名称で海面養殖が発達しており、カラフトマス同様にさまざまな用途で活用されています。
おすすめの鮭(マス)
鮭の部位
鮭を選ぶときは、品種だけでなく”切り身の形”で選ぶのもおすすめです。
鮭の切り身には半月型と弓型の2種類があります。

半月型は尾に近い細身の部位で、運動量が多いため脂は控えめ。骨取りしやすい形です。
弓型は頭寄りの部位で、くぼみは内臓があった場所。腹側は脂がのりやすく、ジューシーな味わいを楽しめます。
【ふるさと納税】宮城県・石巻市 訳あり国産銀鮭
ふるさと納税には賛否ありますが、会社員には使える節税が限られているので、私はありがたく活用しています。
ただし生産者さんにどれだけメリットがあるのか見えにくい返礼品は“全国の食材との出会い”として楽しむだけにとどめ、気に入ったものは「食べチョク」や「ポケマル」などで直接リピートしています。
その点この石巻市の銀鮭は人気返礼品で、自治体からの発注も安定していることが予想できるため、安心して毎年リピートしています。
「訳あり」と書かれていますがどこに”訳”があるのかまったく分かりません。
わが家はいつも「1.8kg/20〜22切」を選んでいますが、半月型・弓形に加えてカマや小さな切り身まで入っていてお得感たっぷり。しかもタウンページ1冊ほどのコンパクトさで届くので、「冷凍庫を空けておかなきゃ!」と焦らずに済みます。

届いたら2〜3切ずつ小分けにして、前日から冷蔵庫でチルド解凍。うちにはグリルがないのでフライパンで焼きますが、脂がのって本当に美味しい!この日は2切れを夜ごはんに、小さな切り身は翌日のお弁当にしました。自分で作る鮭おにぎりは、鮭をぎゅうぎゅうに詰められるのが最高ですね🍙
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おすすめのサーモン
【ロピア】アトランティックサーモン刺身用(ノルウェー産)
私は生魚が苦手なので、サーモンを買うときも「生で食べるため」ではなく「塩をしていない鮭」という感覚で、しっかり加熱していただきます。
普段はロピアの「アトランティックサーモン刺身用(ノルウェー産)」を購入し、生魚が大好きな同居人にはお刺身で、残りは加熱用に小分けして冷凍保存しています。ロピアのサーモンは漁獲から販売まで一度も冷凍していないのが売りで、新鮮さは抜群。脂の甘みがありながら、後味は意外とあっさりしています。
ただ最近は忙しくてロピアまで行けない日が続き、少し割高なのを承知のうえで、近所のスーパーの国産サーモン(おそらくギンザケかカラフトマス)を購入しています。鮭は、偏食気味な私でも食べられる数少ない白身魚のひとつ。ムニエルやホイル焼き、味噌漬けなど、週に一度は必ず食卓にのぼる”わが家の必須食材”です。
【レシピ】サーモンの味噌漬け

サーモン養殖と海洋汚染
サーモンは世界各地で養殖されていますが、海に張った大きな網の中で密集して育てられるため、病気や寄生虫が広がりやすく、その対策として抗生物質や薬剤が使われてきました。
とくに世界第二位の生産量を誇るチリでは、病気対策に大量の抗生物質が使われてきた歴史があり、さらに食べ残した飼料や排泄物が周辺の海に流れ出すことで、海底への堆積物や抗生物質耐性菌の増加など、周辺環境への影響が大きな課題となっています。
一方でノルウェーでは、ワクチンの活用や厳しい規制により、抗生物質の使用量が大幅に抑えられていると聞きます。また、オーストラリア・タスマニア島でも自然環境を生かしたサーモン養殖が行われ、「きれいな海で育ったサーモン」として人気を集めています。

ただしいずれの地域でも水質や生態系への影響という問題は依然として解決できておらず、「環境との折り合いをどうつけるか」という議論が続いています。
こうした海での養殖に対して、近年注目されているのが「陸上養殖」です。海ではなく陸上の水槽でサーモンを育てることで、排水を管理しやすく、寄生虫のリスクも抑えられると期待されています。
【フィッシュファームみらい】みらいサーモン
福岡でも、九州電力・ニチモウ・西日本プラント工業・井戸内サーモンファームの4社が出資する「フィッシュファームみらい合同会社」が福岡県豊前市の豊前発電所敷地内にサーモンの陸上養殖場をつくり、「みらいサーモン」というブランドで全国に出荷を進めています。地下水と海水を組み合わせた循環型の水槽で水質管理しているため、寄生虫のリスクが少なく、海を汚さない形で養殖できるのが特徴です。
最近では、食材にこだわりを持つレストランや飲食店のメニューで「みらいサーモン」の名前を見かけることも増えてきました。ハローデイなど一部のスーパーでは取り扱いがありますが、今のところお寿司やお刺身用が中心。家庭用の切り身として店頭に並ぶ日を心待ちにしています。
鮭とマスの薬膳効能

鮭とマスには「お腹を温め、気血のめぐりを良くする」作用があるとされています。
鮭は昔から「捨てるところがない魚」と言われてきました。身ははもちろんのこと、頭の軟骨は「氷頭(ひず)」と呼ばれ、北の地域では”なます”にして食べられますし、背骨の内側にある腎臓を塩漬けにした”めふん”も珍味として親しまれていきました。
ほぼ全てを食べることができ、なおかつ栄養も豊富なことから、「鮭は冬越しの薬食い」とも言われています。薬膳でもお腹を温め、『気血』のめぐりを良くする作用があるとされ、疲労回復や免疫力アップ、アンチエイジングなどを目的に食べられてきました。
中医学では、若々しく美しい肉体には『気血』が十分に満ちていて、それがすみずみまでめぐっていることが大切だと考えます。
ところが『気血』を生み出す源となる『脾』は冷えに弱く、『脾』のはたらきが落ちると『気血』を生み出す力も低下してしまいます。
さらに、寒さや冷たい飲みもの・食べものによって生じる『寒邪』には『凝滞(ぎょうたい)』という「めぐりを滞らせる」性質があり、『気血』の流れを鈍らせてしまいます。
だからこそ、アンチエイジングや疲労回復を目的とした薬膳では「おなか=『中焦(ちゅうしょう:脾・胃のはたらきを指します)』を温めることがとても大切。鮭にはこの『中焦』を温める『温中』の働きがあり、『脾・胃』の働きを高めて『気血』を生み出す力を底上げしてくれます。
栄養学の観点から見ても、良質なタンパク質や、代謝をサポートするビタミンB群など、疲労回復に役立つ栄養素が豊富です。そしてDHAやEPAといった血液をサラサラに保つ働きがあるとされる不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)も含まれています。
さらに、アンチエイジングの観点で注目したい成分が”アスタキサンチン”です。
分類上、鮭は白身の魚ですが、アスタキサンチンを多く含むオキアミやエビなどの甲殻類、小さなプランクトンを餌として取り込むことで身が赤く色づきます。
アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、抗酸化力が非常に高い成分です。試験管レベルの実験ではビタミンEやビタミンC、β-カロテン、CoQ10などと比べて数倍〜数百倍以上の働きを示したという報告もあります。もちろん、そのまま人間の体内で同じ比率になるとは言えませんが、「細胞を酸化から守る力がかなり強い成分」であることは確かです。
なお、鮭はアスタキサンチンを卵にも引き継いで一生を終えるため、身だけでなく卵である“いくら”にもアスタキサンチンが豊富に含まれています。
おすすめの薬膳書籍
薬膳の効能は、書籍によって記載内容が異なることがよくあります。これは薬膳が、数千年にわたる人々の実践と経験の積み重ねで発展してきた学問だからこそ。そんなとき頼りになるのが『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』。
複数の古典書をもとに、1184種類の食材が掲載されており、薬膳を実践するならぜひ手元に置いておきたい一冊です。

先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版

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