平日に休みが取れたので、父と姉の3人で佐賀へ小旅行に行きました。忙しい日が続いていたので、今回は”宿でのんびり”がテーマです。とはいえ、せっかくなら少し観光もーーと、「肥前浜駅」で下車することに。
肥前浜宿の酒蔵通り

鹿島市・肥前浜には長崎街道の宿場町として栄えた「肥前浜宿(ひぜんはましゅく)」という歴史的エリアがあります。「酒蔵通り」と「茅葺(かやぶき)の町並み」の2つに分かれており、どちらも2006年に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。
酒蔵通りへは駅から徒歩数分。
白壁の町家や大きな酒蔵、ふるい武家屋敷がおよそ600メートルにわたって続き、散策だけでも十分楽しめそうです。江戸時代には10軒近くの酒蔵があったとされますが、現在稼働しているのは3軒のみ。酒蔵通りにはいたるところに当時の面影が残っています。
私たちが訪ねた直前(10月26日)に「秋の蔵々まつり」が開催されていたそうで、次はイベントに合わせて再訪したいところです。

祐徳バス停留所【時刻表はこちら】
A:肥前浜宿前(糸岐本町・竹崎港行)
B:肥前浜宿前(鹿島駅行)
C:浜駅前(糸岐本町・竹崎港行)
D:浜駅前(鹿島駅行)
① HAMA BAR
肥前浜駅のホームに直結した、日本酒好きにはたまらない小さなバー。列車を眺めつつ、鹿島の地酒を少量ずつ飲み比べできます。私は純米酒・純米吟醸・大吟醸から3種類をチョイス。おつまみは地元の特産品を取り揃えています。

電話 0954-60-4160
営業時間 【月〜木】11:30〜16:30【金〜日】11:30〜16:30、18:00〜21:00
※営業日や時間は変更になる場合があります。ご来店の際は事前に店舗へご確認ください。
② 富久千代酒造(現在も稼働中)
代表銘柄は「鍋島」。こちらでは試飲や販売は行っていませんが、酒蔵通りには蔵元が運営する一日一組限定のオーベルジュ「御宿富久千代」や、完全予約制レストラン「草庵鍋島」、希少な鍋島の銘柄を味わえるカフェ「Cafe Brew」があり、滞在や食事を通じて鍋島の魅力を十分に楽しめます。

Cafe Brewは築100年以上の伝統的建物をリノベーションしたおしゃれな空間。コーヒーやスイーツはもちろん、3日前までの予約制でランチコースもいただけます。
電話 050-5456-9145
店休日 月曜・火曜(月曜が祝日の場合は火曜・水曜)
営業時間 【水〜金】11:00〜17:00【土日祝日】10:00〜17:00
※営業日や時間は変更になる場合があります。ご来店の際は事前に店舗へご確認ください。
③ 観光酒蔵 肥前屋
光武酒造が運営する施設で、試飲・販売はもちろん、酒蔵やギャラリーの見学、写真撮影なども楽しめます。2019年に峰松酒造と経営統合を行い、現在は光武酒造場が峰松酒造の蔵を受け継いでいます。峰松酒造の代表銘柄「肥前浜宿」もこちらで購入可能です。

電話 0954-63-2468
店休日 お盆・正月
営業時間 9:30〜17:00
※営業日や時間は変更になる場合があります。ご来店の際は事前に店舗へご確認ください。
④ 呉竹酒造
かつては九州で最大規模の酒蔵の一つでしたが、現在は酒造りは行っていません。敷地には昭和初期に建てられた母屋や、明治〜大正期の蔵・土蔵が残り、いずれも登録有形文化財に指定されています。旧酒蔵は500人規模を収容できる広さを持っており、現在はコンサートやシンポジウムなどの文化イベント会場として活用されています。また2代目が建てた「水頭別宅」という趣のある建物も同じ敷地内で見ることができました。

1980年に呉竹酒造を含む4つの蔵が合併・営業権譲渡され、現在の「杵の川酒造(長崎県)」として再編されました。2023年には特別純米酒「呉竹」が約43年ぶりに復刻し、今回運よくHAMA BARでいただくことができました。濾過控えめの琥珀がかった色、とろりと濃厚な口当たり、強い旨み。とても印象的な一杯でした。

⑤ 光武酒造場(現在も稼働中)
代表銘柄は「光武」「金波」。酒蔵通りのちょうど真ん中あたりに位置しており、隣接する「酒蔵通小公園」には散策の合間の休憩にちょうどいいトイレ設備も整っています。試飲や販売は蔵元が運営する②の観光酒蔵「肥前屋」で行われていています。

⑥ 中島酒造場
1650年創業、浜町で最も歴史ある酒蔵のひとつですが、現在は酒造りは行っていません。酒の製造は佐賀県唐津市の鳴滝酒造に委託しているため、現在でも代表銘柄「君恩」を含め常時10種類ほどのお酒を試飲・購入できます。残念ながらこの日は終日閉まってました。

電話 0954-62-2605
店休日 不定休
営業時間 8:00〜18:00
※営業日や時間は変更になる場合があります。ご来店の際は事前に店舗へご確認ください。
⑦ 飯盛酒造
かつては銘柄「乾盃(かんぱい)」で知られた酒蔵でしたが、現在は酒造りは行っておらず、奈良漬や粕漬、地酒の販売が中心です。酒蔵通りを歩いていくと、目に留まるのが「玉の香」と書かれた煙突。これはこの場所で酒造りをしていた、昔の酒屋の銘柄なのだそう。

私は生姜の粕漬けを購入しましたが、芳醇な香りと旨みが日本酒にぴったり。「もっと買えばよかった…」と後から悔やみました。噂によると、粕漬けには富久千代酒造の酒粕が使用されているのだとか。富久千代酒造の代表は飯盛姓ですし、家系的なつながりがあるのかもしれません。
電話 0954-62-2631
店休日 不定休
営業時間 9:00〜17:00
※営業日や時間は変更になる場合があります。ご来店の際は事前に店舗へご確認ください。
⑧ 幸姫酒造(現在も稼働中)
こちらは酒蔵通りから少し離れた場所、肥前浜駅と祐徳稲荷神社の中間あたりに位置します。祐徳稲荷神社の御神酒を手がける蔵としても知られ、参拝と合わせて人気の観光スポットとなっています。
この日は残念ながら工事中で酒蔵見学不可でしたが、日本酒は購入することができました。とても親切に購入の相談にのっていただき、次回はぜひ、蔵の中も見てみたい…余韻の残る訪問となりました(追記:2025年11月6日現在、工事は終了しているようです)。

電話 0954-63-3708
店休日 正月
営業時間 9:00〜16:00(酒蔵見学は15:00まで/事前予約推奨)
※営業日や時間は変更になる場合があります。ご来店の際は事前に店舗へご確認ください。
酒蔵通りアクセス(2025年11月現在)
肥前浜駅に停車するのは、JR長崎本線の普通列車と、観光列車の「36ぷらす3」「ふたつ星4047」のみ。1時間に1〜2本と本数が少なく、アクセスが難しい駅です。今回は博多から普通列車を利用しましたが、次回は「特急かささぎ」で肥前鹿島駅まで行き、そこから祐徳バス太良線を利用したいと思います。祐徳バスは車窓からの景色や地元の雰囲気が感じられて、ちょっとした旅気分を味わえました。
🚃普通列車利用
・博多〜鳥栖(JR鹿児島本線/約30分・660円)
・鳥栖〜肥前浜(JR長崎本線/約70分・1,300円)
🚃特急列車利用
・博多〜肥前鹿島(特急かささぎ/約60分・2,500円〜)
・肥前鹿島駅前〜浜駅前または肥前浜宿前(祐徳バス太良線/約10分・260円〜300円)
博多〜鳥栖間を「特急リレーかもめ」で移動したり、諫早や嬉野温泉から足をのばすルートもあります。
幸姫酒造(さちひめしゅぞう)
幸姫酒造の歴史
幸姫酒造は1934年創業の、鹿島では比較的新しい酒蔵です。当主をつとめる峰松家はもともと有明海の赤貝の養殖を営んでいましたが、自然相手の仕事はどうしても収入が不安定になりがち。そこで当時人気が高く、地域にも根づいていた日本酒造りへ舵を切ったそうです。
蔵の歩みで印象的なのは、女系が3代続き、入り婿が当主を務めてきたこと。のちに男子が誕生し、現在は5代目の峰松宏文さんが杜氏として蔵を牽引しています。代表銘柄にもなっている「幸姫」という屋号は、創業者の一人娘が幸せになりますようにという思いが込められているそうです。
また幸姫酒造は鹿島市の観光酒蔵の草分け的存在としても知られています。酒蔵の開放や試飲サービスをいち早く導入し、地元の素材を活かした酒蔵ソフトクリームを開発するなど、訪れる人が楽しめる仕掛けを積極的に導入してきました。こうした取り組みが鹿島市全体の観光酒蔵推進のモデルケースとなり、今では多くの人が見学に訪れる人気の酒蔵となっています。
幸姫酒造ラインナップ
いちばん飲んでみたかった純米吟醸「DREAM MY PRINCESS」はHAMA BARでいただくことができました。飲み口はフルーティでやや甘口ですが、キレがあり食中酒としても楽しめそう。酒粕のクリームチーズ和えとよく合いました。
【佐賀県鹿島市ふるさと納税】幸姫DREAM MY PRINCESSと特別純米酒蔵では「純米吟醸 幸姫 RISE」を購入したかったのですが、残念ながらこの日は売り切れ。白石町の「有明酒米研究会」が生産した酒米「レイホウ」を100%使用し、精米歩合50%で仕込まれた一本で、RICE(米)× RISE(日の出)に掛けたラベルは酒米生産者さん自身がデザインしているそう。とても想いのこもったお酒です。
【佐賀県鹿島市ふるさと納税】幸姫DREAM MY PRINCESS(生酒)と純米吟醸 RISE最終的に、私の味の好みからおすすめしていただいた「特別純米酒 幸姫」を購入しました。
特別純米酒 幸姫
”⽢くて⾹り⾼い酒”のイメージがある佐賀県の中でも、幸姫酒造はフレッシュで爽やかな方向性を追求している蔵です。「特別純米酒 幸姫」は、佐賀県産山田錦を100%使用し、精米歩合60%で醸造されたやや辛口の日本酒。香りは控えめですが、口当たりはやさしく、味わいはすっきり。やわらかく穏やかな印象です。
帰宅後また忙しい日々に戻り、週末はヘトヘト。同居人が飲み会で不在だったので、ひとりで晩酌を楽しむことにしました。飯盛酒造の粕漬けがあまりに美味しかったので、残りの酒粕で漬けておいた鮭を焼き、ごはんにのせました。それと、柿。気を補う鮭とうるち米に、酒毒の負担を減らす柿を合わせた「疲れていても無理無く晩酌を楽しめる」組み合わせなのですが…ひとりの夜ごはんなんてこんなものです(笑)。

「特別純米酒 幸姫」はフルーティーでありながら米の旨みも感じられ、鮭、幸姫、柿、鮭、米、幸姫…と食べすすめていくと、不思議とすべてが調和します。途中でぬる燗に切り替え、疲れがほどけていくような心地よい晩酌となりました。


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