このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2026年5月5日(立夏)〜6月11日(入梅)の期間を『初夏の薬膳』として、春・初夏・梅雨におすすめの食材をご案内しています。詳しくは「季節ごとの養生」をご参照ください。
鯛の雑学
鯛の種類
鯛はスズキ目タイ科の魚。日本近海には以下のような種類が生息しています。

真鯛(マダイ)
全国で水揚げされます。天然ものは長崎・福岡・愛媛・兵庫(明石)などが主な産地。養殖は愛媛が国内シェアの約半分を占め、熊本・高知・三重などがそれに続きます。
血鯛(チダイ)別名:鼻鯛(ハナダイ)※福岡ではチコ鯛と呼びます
本州以南の沿岸で広く漁獲されます。関東では幼魚を「春子(カスゴ)」と呼び、江戸前寿司の定番ネタとして知られています。
黄鯛(キダイ)別名:連子鯛(レンコダイ)
本州中部以南に分布し、特に日本海側から東シナ海にかけて多く見られます。福井の「小鯛の笹漬け」は、幼魚を塩と酢だけで漬けた郷土料理です。
黒鯛(クロダイ)別名:茅渟(チヌ)
内湾や河口域を好み、釣りの対象として大人気。生息域によっては臭みが出やすく、傷みも比較的早いため、流通量はマダイほど多くありませんが、各地で食用とされています。「チヌ」の名は大阪湾南部の古地名「茅渟(ちぬ)の海」に由来するとされています。
平鯛(ヘダイ)
本州中部以南に生息しますが、水揚げ量が少なくあまり流通していません。クロダイを白っぽくしたような外見ですが、個人的にはマダイに劣らない美味しさだと思います。
黄茅渟(キチヌ)別名:黄鰭(キビレ)
主に西日本から関東南部にかけて分布。クロダイに近い生態を持ち、内湾や汽水域にも多く見られます。流通量は多くありませんが食用とされ、クロダイ同様に足が早く、個体によっては生臭さを感じることがあります。
鯛の旬
毎年桜の時期になると、寿司屋や居酒屋で「桜鯛」という文字を見かけますが、この正体は真鯛です。

真鯛の産卵期は3月から6月頃。産卵に備えて餌を活発に食べるようになり、脂がのって美味しくなるといわれています。体色はほんのり桜色を帯び、見た目にも美しいことから「桜鯛」と呼ばれ、他の季節のものと区別されてきました。「めでたい」縁起物として親しまれてきた真鯛らしく、新入学や旅立ちといった春のお祝いの席にもよく登場します。
※ただし産卵直前の個体は栄養が白子や卵に使われるため、身が痩せて旨味が落ちる場合もあります。
桜が咲くころを「桜鯛」と呼ぶように、5〜6月頃の鯛は「麦わら鯛」と呼ばれます。産卵終で体力が落ちているため、一年の中でも味の評価が下がりやすい時期とされています。
【福岡県福津市】鯛茶づけフェア
毎年5〜6月、福岡県福津市では「ふくつの鯛茶づけフェア」が開催されます。市内22の飲食店が、玄界灘で獲れた天然真鯛を使った鯛茶漬けをそれぞれのスタイルで提供するご当地グルメイベントです。
ここで気になるのが開催時期。5〜6月は「麦わら鯛」の時期です。なぜ鯛の味が落ちるとされる時期に、鯛のフェアが開催されるのでしょうか?
実は福岡・玄界灘では、1〜4月は吾智網(ごちあみ)漁の禁漁期間です。吾智網漁とは、円形の網で鯛を追い込む鯛漁のこと。潮目や魚の習性を知り尽くした玄界灘の漁師による、江戸時代から続く伝統的な漁です。
禁漁の理由は、産卵期にあたる3〜4月頃に漁を休むことで「産卵期の真鯛を守るため」。人気の高い桜鯛よりも、資源を守ることを優先させているのです。
そして、吾智網漁が解禁されると同時にスタートするのが、この鯛茶漬けフェア。禁漁明け・水揚げされたばかりの地元天然真鯛を振る舞い、解禁の喜びをそのまま食卓に届けるイベントと言えるかもしれません。
平日に休みが取れたので、久しぶりに福津散策に出かけてみました。
【お魚センターうみがめ】【つやざき漁港食堂 空と海】
私が訪れたのは、西鉄バス「津屋崎橋」から徒歩1分の【お魚センターうみがめ】さん。福間や津屋崎の漁港で水揚げされた新鮮な魚介類が並ぶ直売所で、パック詰めの鮮魚はもちろん、生簀の活魚は調理代(100~300円)を払えば好みの形にさばいてもらえます。
鯛の切り身も種類豊富で、どれも見るからに新鮮でプリプリと身が厚く美味しそう!ヘダイを購入しようかギリギリまで迷いましたが、この後の行程を考え泣く泣く断念しました。

2階は【うみがめ】さんの新鮮な魚介を味わえる食堂になっています。平日でも行列ができる人気店なので、この日はオープンの11時と同時に入店。海が見えるカウンター席でハイボールとアジフライを注文しました。

せっかくの「鯛茶づけフェア」なのですが、実は私、生魚が苦手なんです…。同居人には「なんのために行くの?」と笑われましたが、鯛は私が美味しく食べられる数少ない魚のひとつ。とくに鯛出汁が大好きなので、「ここに来たらこれ!」と決めている「鯛雑炊」をいただきました。鯛の旨みをたっぷり吸い込んだ米に玉子がふんわりと絡みついて、本当に美味しい。大満足でお店をあとにしました。
【漁師めし 来進】
福津市内を散策し、ラストは福間駅内にある【来進】さんへ。漁師である夫がその日の朝にしめたばかりの新鮮な魚介を、妻と娘さんがアレンジして提供するご家族経営のお店です。もともと福間漁港で営業されていましたが、2023年にこちらに移転されました。

【来進】さんも「鯛茶づけフェア」に参加されていますが、私のイチオシは「鯛フライバーガー」。【来進】さんが発祥とも言われている福津名物です。残念ながらこの日は売り切れだったため、鯛のフライとフライドポテトで、独自のフィッシュアンドチップスを楽しみました。
鯛のレシピ
福岡県は天然真鯛の漁獲量が長崎・兵庫と並ぶ全国トップクラス。
こうした背景もあり、福岡では比較的手頃な価格で真鯛が流通しています。
塩昆布締め・塩昆布揚げ
私は生魚が苦手ですが、同居人は鯛の「即席昆布締め」が大好き。鯛のお刺身を塩昆布で和え、ラップで包んで冷蔵庫で30分〜1時間寝かせるだけの簡単メニューです。私はそれに粉(薄力粉でも片栗粉でも)をまぶし、少なめの油で揚げ焼きにしています。
鯛しゃぶ
夜ごはんの準備をする気力もないほど疲れた夜、わが家では「鯛しゃぶ」がよく食卓にのぼります。切り身の鯛を薄切りにし、「くばらあごだしつゆ」を希釈したお出汁でしゃぶしゃぶするだけの超簡単メニュー。本当は骨付きを使いたいところですが、切り身からもじゅうぶん美味しいお出汁が出ます。締めはごはんとたまごを入れて雑炊に。
せんべろメーカー
使用するのはLITHONの「せんべろメーカー」。焼鳥はもちろん、テイクアウトした天ぷらやフライもサックサクに温めることが出来ますし、付属の備品でおでんや熱燗も楽しむことができます。見た目がチープなためオモチャ感覚で購入しましたが、今では我が家の宅飲みに欠かせない存在になっています。本体は拭くだけ・備品は洗うだけで、お手入れもとても簡単です。
鯛の薬膳効能

真鯛には「疲労や加齢をやさしく補う」作用があるとされています。
真鯛の主な薬膳効能は『健脾』『補腎・益精』。
『脾胃(消化器系)』の働きを整え、『腎精』を補う作用があるとされます。
「山芋」の記事でご紹介したように、『精』とは成長や発育に関わる”生命の源”のようなもの。これが不足すると「疲れやすい」「体調を崩しやすい」といった、いわゆる「元気がない」状態になりますし、逆に過労が続くと『腎精』を消耗する要因になると考えられています。
『腎精』の不足は、子どもでは発育不良、成人では老化の進行や生殖機能の低下につながると考えられています。とくに年齢を重ねてからは『補腎・益精』の食材を日常的にコツコツ摂ることが養生の基本。真鯛もそのひとつに数えられます。
栄養学の観点から
真鯛には良質のタンパク質が豊富に含まれています。ロイシンやリジンなどの必須アミノ酸に加え、 タウリンやアスパラギン酸なども含まれており、体の機能維持や疲労回復のサポートが期待されます。
また脂質が少なく消化吸収が良いため、高齢者の食事や離乳食、病後の回復期にも適しています。レシピでご紹介したしゃぶしゃぶやシンプルな蒸し物などはとくにおすすめです。
おすすめの薬膳書籍
薬膳の効能は、書籍によって記載内容が異なることがよくあります。これは薬膳が、数千年にわたる人々の実践と経験の積み重ねで発展してきた学問だからこそ。そんなとき頼りになるのが『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』。
複数の古典書をもとに、1184種類の食材が掲載されており、薬膳を実践するならぜひ手元に置いておきたい一冊です。

先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版


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