このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2026年3月20日(春分)〜5月5日(立夏)の期間を『春の薬膳』として、早春・春・初夏におすすめの食材をご案内しています。詳しくは「季節ごとの養生」をご参照ください。
ごまの雑学
ごまの世界史
ごまの原産地は、アフリカのサバンナ地帯とされています。
少なくとも紀元前3000年以前にはナイル川流域などで栽培されており、古代エジプトやメソポタミア周辺では、ごま油を灯りの燃料や香料、薬用などに利用していたと考えられています。
世界への広がりも早く、中国にも古くから「ごま油=香油、高級な調味料」という認識がありました。中国最古の薬学書『神農本草経』には「不老長寿に関わる薬物」として記載され、後に明代の『本草綱目』では「身体を潤す」「肝・腎を養う」といった効能が整理されています。

ごまの日本史
ごまはインドや中国を経由し、朝鮮半島を通って日本に伝わったと考えられています。
縄文時代末期(紀元前1200年頃)の遺跡からごまの種子が出土していますが、食文化にごまが根付いたのは奈良時代ごろとされています。
飛鳥・奈良時代の仏教伝来とともに中国から改めて導入され、ごま油は貴族や寺院の料理・香油・薬用として広く使われるようになりました。

ごまの種類
ごまには非常に多くの品種がありますが、外皮の色によって黒・白・金の3種類に大別されます。
アフリカを原産とする野生のごま(原生種)は種皮の色がやや濃く、現代の「黒ごま」に比較的近い形態だと考えられています。その後、中国や日本・東南アジア・中近東などで栽培・品種改良が重ねられるなかで、外皮の色が薄く・金色がかった変異種が選ばれ、白ごまや金ごまが生まれていったとされています。

栄養成分と特徴
色ごとに若干含まれる量の違いはあっても、白ごま・黒ごま・金ごまの栄養成分はほぼ同じ。一般的な構成比は脂質約50%・たんぱく質約20%・炭水化物(食物繊維含む)約18%で、ビタミン(E・B₁・B₂・ナイアシン)やミネラル(カルシウム・鉄分・マグネシウム)も豊富に含まれています。ただしポリフェノールの量や、香り・風味のバランスが異なるため、用途によって以下のように使い分けられる傾向にあります。
黒ごま…香り・コク重視・健康志向
種皮が黒くて厚く、外皮付きのまま使われるのが一般的です。セサミンをはじめとするリグナン類のポリフェノールを多く含み、「ほかのごまに比べて総ポリフェノール量がやや多く、抗酸化力が高い」とされ、薬膳や健康志向の食品によく用いられます。
白ごま…日常使いの「主力」
外皮がもともと薄く、消化・吸収が比較的しやすいとされています。練りごまやごま油など、脂質を活かした加工品の原料としても使いやすく、家庭料理から業務用まで幅広く活躍しています。
金ごま…高級・香り良し・贅沢な味わい
黄色〜黄金色の外皮をもち、香気成分を豊富に含むのが特徴。その芳醇な香りを活かして、高級練りごまやごま油・和菓子・スイーツなど、香りを主役にしたいときに選ばれる少し特別なごまです。
ごまを選ぶ基準その① 産地
日本で流通するごまの99%以上は輸入品です。
白ごまは世界中の温暖な地域で栽培されており、日本へは主にアフリカや南米から輸入されています。黒ごまは白ごまほど生産地が多くなく、中国や東南アジアが主産地で、日本へはミャンマーからの輸入が多くを占めています。
国産品の代表といえば、鹿児島県・喜界島。国内で最もごまの栽培面積が広い産地として知られています。ただし機械化できる工程が少なく手間がかかるため、国内生産量を増やすのはなかなか難しいのが現状です。

喜界島の白ごまは、長年にわたり系統保存されてきた在来品種を100年以上栽培しており、無農薬・無化学肥料で育てられる例も多く、小粒ながら香り高いのが特徴です。 黒ごま・金ごまも在来品種が栽培されていますが、流通量の面では「在来品種」と「改良品種」が混在しているようです。
金ごま
金ごまは品種・栽培地によって脂質や香気成分の含有量が大きく変わります。輸入品では、「香り重視」ならトルコ産、濃い味わいならエジプト産といわれています。
国産の金ごまは、白ごまや黒ごまに比べて栽培が難しく、生産できる地域が限られています。そのため特定の「一大産地」があるわけではなく、各地の農家がそれぞれの土地の気候や風土に根ざしながら少量ずつ丁寧に育てているのが現状です。
国内の主な産地としては茨城県・京都府・鹿児島県がよく知られていますが、兵庫県・愛媛県・岐阜県・栃木県などでも、無農薬にこだわった農家が少量ずつ栽培しています。
なかには、埼玉県日高市の「香胡園」のように、耕作放棄地の再生にも取り組みながら、在来種の金ごまを自然栽培で守り続けている生産者もいらっしゃいます。

ごまを選ぶ基準その② 形状・製法
市販のごまは「いりごま」「すりごま」「練りごま」の3形態で流通しています。生(未焙煎)のごまは外皮が非常に硬く、そのままでは消化もしにくいため、一般向けにはほとんど流通していません。
炒ることで噛み砕ける硬さになり、香ばしさもアップしますが、じつはそれだけではありません。ごまに含まれるセサモリンというポリフェノールは、加熱によってセサモールへと変化し、抗酸化作用がぐっと高まることが分かっています。食べやすく、美味しく、栄養価も上がるーーいりごまは良いことづくめの食品なんです。
さらに吸収率を上げたいなら、すりごまや練りごまがおすすめ。外皮が壊れることで、ごまの栄養がより体に届きやすくなります。

食べる直前に自分でするのが理想的ですが、市販品でも栄養価はさほど変わらないので、毎日気軽に使える形を選ぶのがいちばん。形状や製法よりも、じつは「酸化しないうちに使い切ること」の方が大切です。開封後は1〜2か月を目安に、どんどん使い切りましょう。
おすすめのごま
私はごまが大好きなので黒・白・金のいりごま・すりごまを常備していますが、「これ一択!」と決めているわけではなく、産地やメーカー、オーガニックかどうかなどを基準にその時々で選んでいます。薬膳をはじめてからは、とくに黒ごまを意識して取り入れるようになり、市販のすりごまに加えてミルも愛用しています。

どれを選んでよいか分からないという方は、ごま専門メーカーが産地を吟味したものを選ぶと失敗が少ないです。
【おすすめのごま専門メーカー】和田萬(わだまん)
1883年(明治16年)創業、大阪の老舗ごま専門メーカーです。乾物問屋として出発し、二代目の代に「ごまひとすじ」の道へ。いりごま・すりごま・ねりごまと幅広いラインナップで、国産ごまの取り扱いでは業界トップクラスを自認しています。
私のイチオシは「有機ふりかけ」シリーズ。梅・柚子・味噌など全種ハズレなしですが、とくに気に入ってるのが「ごまと山椒」。山椒には春〜初夏に滞りやすいとされる『気』をめぐらせる作用もあるため、これからの季節におすすめです。
楽天市場の直営店では、有機ふりかけシリーズを含む18種類のごま商品から5種類のごま商品を選べる「選べる5袋詰め合わせ」が人気です。私自身、何度もギフト用に購入していますが、受け取った方がそのままリピーターになるケースが続出しています。
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【楽天市場】和田萬 選べる5袋詰め合わせ5袋中、必ず選ぶのが「黄金香りごま」。スプーンでそのまますくって食べたくなるほど、香りが豊かで濃厚な金ごまです。あまりに美味しいので、単品でも購入しています。
【楽天市場】和田萬 黄金香りごま 140g×3袋【おすすめのごまミル】ポーレックス
鹿児島県霧島市に自社工場を構えるポーレックスは、独自の特殊なセラミック成形技術で精巧なミル製品を開発・製造しているメーカーです。
セラミック製の刃は金属臭がなく、ごま本来の風味を損なわずに挽けるのが大きな魅力。摩耗しにくく錆びないため、長く愛用できます。私が愛用しているのは「ごまミルII」ですが、最新版の「ごまミルIII」が登場しているようですね。スマートな形状となり、冷蔵庫で場所を取らなそうです。
内刃と外刃の設計により、油分の多いごまも詰まらず効率よく挽けるよう工夫されていますし、粒度調節機能付きで用途に合わせて使い分けられます。粗めに挽いてごはんや麺にかけるもよし、細かくすって和え物やドレッシングに使うもよし。食事のたびに食卓に登場しています。
ごまの薬膳効能


中医学では、黒ごまと白ごまでは効能が異なります。
黒ごまには「老化防止に役立つ」作用、白ごまには「肌を潤し便通を整える」作用があるとされています。
黒ごまは主に『肝・腎』を養う食材として位置づけられています。
『肝』は『血』を貯蔵して全身にめぐらせる臓腑で、潤いと栄養をすみずみまで行き渡らせます。『腎』は成長・発育・老化に関わる『精』を支えるとされ、この『肝・腎』を養うことがエイジングケア(白髪・抜け毛・足腰の衰えなど)につながると考えられています。
アンチエイジングを目的に食べるなら、毎日少量をコツコツ続けるのがポイント。私は1日スプーン2杯程度を目安に取り入れています。
白ごまは、大腸を潤して便通を整える働きで使われることが多い食材です。
中医学では白い食材は『肺』に良いとされており、肺と経絡でつながる皮膚にも潤いをもたらすと考えられています。肌のカサつきや髪のパサつき、空咳が気になる時におすすめです。
栄養学の観点から
ごまは全体の約50%が脂質という、搾油できるほど油脂分の豊富な食材です。ただし、そのほとんどはリノール酸・オレイン酸といった不飽和脂肪酸。どちらも血中コレステロールのバランスを整える働きがあるとされており、適度に摂ると血液をサラサラに保つ効果が期待できます。
また、ごまで注目の成分がゴマリグナン。
セサミン・セサモリンなどを含むリグナン類のポリフェノール系物質の総称で、強い抗酸化作用により体内の活性酸素を除去し、アンチエイジング効果が期待されています。
おすすめの薬膳書籍
薬膳の効能は、書籍によって記載内容が異なることがよくあります。これは薬膳が、数千年にわたる人々の実践と経験の積み重ねで発展してきた学問だからこそ。そんなとき頼りになるのが『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』。
複数の古典書をもとに、1184種類の食材が掲載されており、薬膳を実践するならぜひ手元に置いておきたい一冊です。

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