このブログでは、季節に応じた薬膳食材をご紹介しています。
2026年7月15日(追い山笠)〜8月7日の期間を『夏の薬膳』として、梅雨・夏・残暑におすすめの食材をご案内しています。詳しくは「季節ごとの養生」をご参照ください。
バナナの雑学
バナナの原産地と品種
バナナの原産地は、東南アジアからニューギニアを含む熱帯地域と考えられています。
現在のバナナは種のない果物として親しまれていますが、野生のバナナは大きくて硬い種を多く含んでいました。約1万年前ごろから、人々が種の少ない個体を選び、株分け(栄養繁殖)を繰り返したことで、現在の食用バナナが成立したと考えられています。

初期の栽培バナナには、現在よりデンプンが多く、加熱調理して食べるものが多かったと考えられています。その系統を受け継ぐのが、プランテンなどの調理用バナナです。現在でもアフリカや中南米、東南アジアの一部では、イモや米のように主食として食べられています。
例えば、ウガンダでは蒸したバナナをつぶした「マトケ」、インドネシアでは揚げバナナの「ピサンゴレン」、フィリピンではバナナを春巻きの皮で包んで揚げた「トゥロン」などが食べられています。

一方、栽培が各地に広がるなかで、そのまま食べられる甘い品種も発達しました。現在、日本で最も多く流通している「キャベンディッシュ」も、生食用バナナの代表的な品種です。
20世紀前半まで、輸出用バナナの主流は「グロス・ミッチェル」でした。しかし、土壌中のフザリウム菌によって起こるパナマ病が農園に広がり、大きな被害を受けたことから、病気に強いキャベンディッシュへと置き換えられていきました。
中国のバナナの歴史
中国では古くから「甘蕉(かんしょう)」「芭蕉(ばしょう)」などの名で知られてきました。3世紀頃までには中国南部で栽培・利用されていたと考えられており、6世紀の農業書『斉民要術』にもバナナについての記述が見られます。
食用の果実として親しまれていただけではなく、唐代の本草書『本草拾遺』では、「熱を冷まし、渇きを潤す」食材としても取り上げられています。
現在の中国では、生食用バナナが広く流通する一方、バナナを油で揚げた「炸香蕉(ジャーシャンジャオ)」や、飴を絡めた「拔絲香蕉(バースースアンジャオ)※大学いものバナナ版」など、加熱して食べる料理も人気です。

日本のバナナの歴史
日本には、鎌倉時代に禅僧・栄西が中国から芭蕉(ばしょう)を持ち帰ったとされています。当時は食用というより、観賞用の植物として親しまれていたと考えられています。

日本で本格的にバナナが食べられるようになったのは明治時代です。台湾が日本の統治下となった1895年以降、台湾産バナナの輸入が始まり、高級果物として扱われるようになりました。病気のお見舞いや贈答品にも使われ、「バナナは特別な果物」というイメージを持つようになりました。
台湾から輸入されたバナナの多くは北九州市門司港に荷揚げされました。船での輸送中に熟しすぎたり傷んだりしたものを遠方へ送る前に売り切るため、明治末から大正時代にかけて始まったとされるのが「バナナの叩き売り」です。露天商が軽妙な口上で客を集め、値段を下げながら売りさばく様子は門司港の名物となりました。
第二次世界大戦の影響で台湾からの輸入が途絶えると、バナナの叩き売りもいったん姿を消しましたが、1970年代に地域おこしとして復活し、現在では門司港の名物として、観光客向けに受け継がれています。
実演スケジュールや開催場所は、こちらからご確認いただけます。
クロスロードふくおか「門司港名物 バナナのたたき売り」
戦後、台湾からの輸入が再開され、さらに1963年にバナナの輸入が自由化されると、バナナは一般にも手の届きやすい価格帯になりました。こうしてバナナは特別な果物から、日常的に食べられる身近な果物へと変わっていきました。

その後、1960年代後半から1970年代前半にかけて、フィリピンで日本向け輸出を目的とした大規模なバナナ農園が整備されます。日本との距離が比較的近く、安定した品質のバナナを大量に供給できたことからフィリピン産の輸入が急速に増え、日本で流通するバナナの主流となっていきました。
国産バナナ
近年は国産バナナの栽培も広がっています。なかでも岡山県の「もんげーバナナ」や、宮崎県の「NEXT716」、鹿児島県の「神バナナ」など、無農薬栽培や皮ごと食べられることを特徴とする品種・ブランドが注目を集めています。
国産バナナを探すなら、「食べチョク」や「ポケットマルシェ」がおすすめです。皮ごと食べられるバナナをはじめ、全国各地の生産者が育てたさまざまな国産バナナが出品されています。詳しくは、下のリンクをご覧ください。
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私のバナナの取り入れ方とおすすめレシピ
私のバナナの取り入れ方
バナナは手軽で価格も比較的手頃なことから、子どもから高齢の方まで幅広い世代に親しまれている果物です。一方で、薬膳では身体を冷やす「寒性」の性質があるとされ、体質によってはお腹が冷えたり、胃腸の不調を感じたりすることもあると考えられています。
私自身は湿を溜めやすい体質で、日頃から『脾』を冷やしすぎないよう意識しているため、バナナも自分なりのルールを決めて取り入れています。
※『脾』と「冷え」についてはこちらの記事をご参照ください。
生のバナナをそのまま食べるのは、主に夏。平日の朝食や、ヨガやウォーキングの前など、身体を動かす前のエネルギー補給として食べています。
夏以外は、オートミールや米粉と合わせてパンケーキやスコーンにすることが多いです。薬膳では、寒性の食材は加熱することで性質がやわらぐと考えられているため、生で食べる機会は自然と少なくなります。
ただし、私のモットーは「健康のため、薬膳をゆるく日常に取り入れること」。ガチガチに「夏以外は食べない!」と決めているわけではなく、「意識して控える」程度です。季節や体質、食べ方を少し意識しながら無理のない範囲で楽しんでいます。
おすすめレシピ:バナナプロテイン
陰陽五行説や二十四節気に基づく暦の考え方では、一年の中で最も暑さが厳しい時期を「三伏天(さんぷくてん)」と呼びます。初伏・中伏・末伏の総称で、おおむね7月中旬から8月中旬にかけての約30〜40日間にあたります。
この時期の朝食の定番は、プロテインにバナナを加えたスムージー。酷暑期の水分補給も兼ねて、身体を潤すとされるバナナと豆乳を合わせ、『脾』を冷やしすぎないようシナモンとココアを加えます。

以下の材料をミキサーかフードプロセッサーにかけます。
- バナナ一本(大きいときは半分に)
- 無調整豆乳100〜150ml
- シナモン小さじ¼〜⅓
- ココア大さじ1
おすすめレシピ:バナナオートミールパンケーキ

①オートミール60gに豆乳180mlを加え、しばらく置いてふやかします。
②フードプロセッサーで完熟バナナ1本を粗めのペースト状にし、卵1個と①を加えて混ぜ合わせます。
③テフロン加工のフライパンに生地を大さじ2杯ずつ落とし、小さなパンケーキ状にして両面を焼きます。
④お好みではちみつなどをかけていただきます。
バナナの薬膳効能

バナナには「熱を冷まし、肺や腸を潤す作用がある」とされています。
バナナは、中医学では「清熱潤肺(せいねつじゅんぱい)」の働きがあるとされており、身体にこもった熱を冷まし、肺を潤すと考えられています。暑さでほてりを感じるときや、喉の渇き・乾燥による空咳などが気になるときに役立つとされ、古くから暑い地域を中心に重宝されてきました。
また、腸を潤して便通を整える「潤腸通便(じゅんちょうつうべん)」の働きもあるとされ、熱がこもって腸が乾燥しているタイプの便秘にも用いられる食材です。
一方で身体を冷やす「寒性」の食材でもあり、冷えやすい方や胃腸が弱い方は食べ過ぎに注意が必要です。とくに体が冷えているときや下痢気味のときには控えたほうが良いかもしれません。
栄養学の観点から
バナナには炭水化物が多く含まれており、手軽にエネルギーを補給できる果物です。バナナの炭水化物は、熟すにつれてデンプンが糖へと変化します。青みの残るバナナにはデンプンが多く、追熟が進むとブドウ糖や果糖、ショ糖などの糖が増えて甘みも強くなります。そのため、運動前など、すぐにエネルギーを補いたいときには、よく熟したバナナがおすすめです。
また、バナナにはカリウムや食物繊維も含まれています。カリウムは体内の余分なナトリウムの排出を助ける働きがあり、むくみ対策にも役立つ栄養素です。食物繊維は便通を整えるほか、満腹感を持続させる働きもあるため、ダイエット中の間食としても人気があります。
さらにバナナに含まれるトリプトファンは、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料となります。ビタミンB6やマグネシウムなどリラックスを支える栄養素も含まれているため、心身をゆるめたいときにも良いとされています。
おすすめの薬膳書籍
薬膳の効能は、書籍によって記載内容が異なることがよくあります。これは薬膳が、数千年にわたる人々の実践と経験の積み重ねで発展してきた学問だからこそ。そんなとき頼りになるのが『先人に学ぶ 食品群別・効能別 どちらからも引ける 性味表大事典 改訂増補版』。
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