福津散策
5月なかば、平日に休みが取れたので、福津散策に出かけました。
福岡県福津市は、2005年(平成17年)1月24日に旧福間町と旧津屋崎町が合併して誕生した、玄界灘に面した海沿いの市です。福岡からはJRで30分ほど。美しい海岸線と新鮮な海の幸が魅力で、日帰りで遊びに行くのにぴったりの場所です。
津屋崎の海
9時46分博多発のJR鹿児島本線快速小倉行きで福間駅へ。そして福間駅西口発の西鉄バスに乗り、終点の津屋崎橋へ向かいました。10時半過ぎ、最初の目的地「お魚センターうみがめ」に到着です。

この日のいちばんの目的は、「お魚センターうみがめ」2階にある「つやざき漁港食堂 空と海」さんで真鯛をいただくこと。詳しくは「真鯛」の記事でご紹介しています。食後は腹ごなしに、海沿いを散歩しました。
弓なりに続く遠浅の海岸は、干潮時に砂浜に残った薄い海水が空を鏡のように映し出すことから「福岡のウユニ塩湖」とも呼ばれ、人気の撮影スポットになっています。この日もほとんど波がなく、透き通った海の白い砂底から沖へ向かって広がる淡い青のグラデーションがとてもきれいでした。

津屋崎千軒
海沿いから道を入ると、津屋崎千軒と呼ばれる地区へ続きます。
津屋崎は玄界灘に面した港町。瀬戸内海や日本海沿岸へのアクセスに恵まれた立地から、江戸時代には廻船業(海上輸送業)が盛んになりました。さらに、讃岐国(香川県)から津屋崎を訪れた製塩技術者・大社元七(おおこそ・もとしち)のもと寛保3年ごろから製塩も始まり、津屋崎は漁村にとどまらない商業の町へと成長しました。
のちに陸上輸送の発達とともに海運や塩田は衰退しましたが、当時の商家群が「津屋崎千軒」として今に残っています。狭い通りにノスタルジックな家屋が連なり、カフェや雑貨店、民俗館の「藍の家」などが点在していて、散歩好きにはたまりません。

津屋崎千軒の散策は、「福津市まちおこしセンター 津屋崎千軒なごみ」を起点にするのがおすすめ。手荷物預かりやレンタサイクルなどのサービスも充実しており、まずここに立ち寄ってから街歩きを始めると動きやすいです。
👉️公式ホームページでは、地元の方々が手作りした可愛らしい「おさんぽマップ」をダウンロードできます。ぜひご参照ください。
宮地嶽神社
後述する【豊村酒造】さんでお土産用の日本酒を購入してから、再び西鉄バスに乗り宮地嶽神社へ。
宮地嶽神社の御祭神は息長足比売命(おきながたらしひめのみこと)。別名は神功皇后(じんぐうこうごう)です。新羅(朝鮮半島)への遠征に際し、宮地山の山頂で天神地祇に開運を祈願して船出されたと伝えられ、「何事にも打ち勝つ開運の神」として古くから篤く信仰されています。
また、宮地嶽神社は「光の道」でも有名です。正面から玄界灘に向かって約800m一直線に伸びる参道を、沈む夕日が黄金色に照らし出す神秘的な光景で、年2回、2月中旬と10月中旬それぞれの数日間だけ見ることができます。

宮地嶽神社には【奥宮八社めぐり】と呼ばれる参拝ルートもあります。本殿の奥に点在する8つの小さな神社を順番に巡るもので、各社にはろうそくとお線香が用意されており、すべて巡れば御大願がかなうとされています。3社めの不動神社のそばには、御神体・宮地山への登山口もあり、体力に自信のある方は挑戦してみるのもよいかもしれません(山頂まで30〜40分ほど)。この日はもう一軒、真鯛を食べたい店があったので(「漁師めし来進」さん)断念しました。

豊村(とよむら)酒造有限会社
津屋崎千軒地区の中心に位置する豊村酒造旧醸造場施設は、現在は国の重要文化財として保存されています。

創業者の豊村喜三郎は、新宮浦の庄屋の次男として生まれましたが、12歳で父を亡くし、13歳のとき自ら望んで奉公に出ました。17歳で家業の手伝いに戻り、24歳で博多の酒造業・堺宗平の三女サクと結婚して分家します。そして28歳のとき、繁栄していた津屋崎に可能性を見出し、明治7年(1874年)に豊村酒造を創業しました。
明治28年の全国酒造家番付では九州で唯一「最上段幕の内」に格付けされるなど、九州トップクラスの酒造業へと成長しましたが、海運の衰退や日本酒需要の長期低迷により、次第に販路が縮小。一時は施設の老朽化による取り壊しも検討されましたが、市民運動などを経て保存が進められ、2024年1月に国の重要文化財に指定されました。
現在は酒造免許を保持しつつ、旧醸造場施設の保存・文化財管理を優先し、銘柄「豊盛」の生産は他蔵へ委託されています。
豊村酒造旧醸造場施設
- 住所:福岡県福津市津屋崎4丁目14番18号
- 電話番号:0940-52-0001(豊村酒造有限会社)
- 営業時間:10:00〜16:00(最終入場15:30)
- 休館日:夏季・年末年始・ほか
- 見学:スタッフが同行し、豊村喜三郎の生涯や施設について解説してくれます。見学を希望する場合は事前に相談すると安心です。
豊盛
この日はお腹いっぱい真鯛を満喫したので、豊村酒造さんで購入した日本酒は後日の楽しみに取っておきました。
代表銘柄「豊盛」は地元を中心に流通しているようで、福岡市内ではほとんど見かけません。宮地嶽神社との縁は深く、毎年新年には御神酒として奉納されているそうです。
ネット上では「委託先は非公開」とする情報が多いようですが、「豊盛 大吟醸」のラベルには製造場として小林酒造さんの名前が記載されていました。「萬代」で知られる、福岡県粕屋郡宇美町の酒蔵です。
合わせるのはやっぱり鯛でしょう、ということでレンコダイのせいろ蒸しを用意しました。白菜・ネギ・生姜・ミョウガを敷き詰めた上にレンコダイをのせて10分蒸すだけの簡単レシピ。お酢とごま油に「名水のたましずく」を合わせたタレでいただきます。

「豊盛 大吟醸」は吟醸香が控えめで、あっさりした味わい。鯛との相性はもちろん良いのですが、蒸すよりも揚げる・甘辛く炊くといった調理方法と合わせると、また違った魅力が出そうです。
「豊盛 純米酒」はまろやかな米の旨みにほのかな苦味が加わる、クラシックな味わい。この苦味には不思議と白米を合わせたくなります。お酒の苦みに、ごはんの甘みと旨みを重ねたくなる感覚とでも言いましょうか。結局〆用に用意していたごはんもツマミとして一緒に楽しみました。「定食にちょっと一杯」という飲み方が大好きな私には、まさにぴったりの、食事に寄り添ってくれるようなお酒でした。
👉️豊村酒造の日本酒は、公式ホームページよりお買い求めいただけます。

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